「犬と笛(芥川龍之介)」の超あらすじ(ネタバレあり)

『犬と笛』は、髪長彦という青年が3匹の犬の力を借りて、大臣の娘を救出する冒険物語です。舞台は大和の山々で、葛城山の神々や土蜘蛛、食人鬼といった異形の者たちとの戦いが繰り広げられます。

物語は、髪長彦が山の守り神から特別な能力を持つ3匹の犬を授かるところから始まります。姫たちの救出を成し遂げるも、途中で出会った侍に手柄を奪われるという波乱の展開を迎えます。

最終的には姫たちの知恵と髪長彦の勇気が侍の嘘を暴き、彼は報われることになります。この物語には、古代の日本を舞台にした神話的な要素がたっぷりと詰まっています。

この記事のポイント
  • 髪長彦の冒険のあらすじ
  • 3匹の犬の特殊能力
  • 食人鬼と土蜘蛛との戦い
  • 侍の裏切りとその結末
  • 姫たちの機転による救出

「犬と笛(芥川龍之介)」の超あらすじ(ネタバレあり)

髪長彦と3兄弟の出会い

髪長彦は、大和国の葛城山のふもとで暮らす青年です。彼は長い髪を持ち、その美しい顔立ちから「髪長彦」と呼ばれていました。職業は山での木材の伐採で、日々の労働の後、木陰で笛を吹いて気を休めるのが彼の楽しみでした。

そんなある日、彼が笛を吹いていると、山の守り神である3人の兄弟が彼のもとに現れます。長男は「足一つの神」と呼ばれ、どんなものでも見つけることができる「嗅げ」という犬を持ち、次男の「手一つの神」は瞬時にどこにでも行ける「飛べ」という犬を持ち、末弟の「目一つの神」はどんな敵でも倒す「噛め」という犬を従えていました。

髪長彦の笛の音に心を奪われた3兄弟は、感謝のしるしとして3匹の犬を彼に託します。髪長彦はその犬たちを連れ、山を下りる途中、飛鳥の大臣の娘が行方不明だと聞きます。そこで彼は、犬たちを使って姫を探し出す決意をします。

姫の救出と食人鬼との戦い

髪長彦は、最初に「嗅げ」を使って大臣の娘である駒姫の居場所を突き止めます。生駒山の洞窟に囚われている彼女を救うため、彼は「飛べ」に乗って山へ向かいます。洞窟に着くと、駒姫は食人鬼に捕らえられていましたが、食人鬼はお酒を飲んで眠り込んでいました。

そこで、「噛め」が食人鬼を倒し、駒姫を無事に救出します。駒姫は髪長彦に感謝し、さらに妹の笠姫も行方不明であることを伝えます。髪長彦は再び「嗅げ」を使い、笠姫の居場所も突き止めます。次の目的地は笠置山です。

髪長彦は「飛べ」に乗り、駒姫とともに笠姫を救うために笠置山へ向かいます。そこには、かつて神武天皇によって退治された土蜘蛛が住んでおり、彼らに新たな試練が待ち構えています。

土蜘蛛の罠と再会

笠置山に到着した髪長彦たちは、洞窟の中に笠姫が囚われていることを確認します。しかし、土蜘蛛は彼らを罠にかけようと企んでいました。洞窟の奥へと誘い込まれた髪長彦たちを、土蜘蛛は洞窟の入口に巨大な岩を動かして閉じ込めようとします。

再会を果たした駒姫と笠姫は喜び合いますが、洞窟からの脱出が急務です。髪長彦は知恵を絞り、持っている笛を取り出し、入口にいる土蜘蛛に向かって演奏を始めます。その美しい音色に、土蜘蛛はうっとりと聞き入ってしまいます。

土蜘蛛が完全に気を許し、入口の岩を動かすと、髪長彦の「噛め」が一気に襲いかかり、土蜘蛛を倒します。髪長彦は姉妹を無事に救出し、3匹の犬と共に都へ向かいます。

侍の裏切りと真実の発覚

都に向かう途中、髪長彦は以前会った若い侍と再会します。侍は髪長彦が助けた姫たちを自分の手柄にしようと画策し、髪長彦から全ての経緯を聞き出します。さらに、髪長彦が持つ笛を強引に奪い、「飛べ」に乗って姫たちを連れ去ってしまいます。

一方、取り残された髪長彦は、駒姫と笠姫の声が頭の中に響いてくるのを感じ、笛を取り返す方法を探します。姫たちは、彼の髪に隠した金と銀の髪飾りが鍵になることを教えてくれます。

髪長彦は再び3匹の犬と共に大臣の屋敷に乗り込み、真実を明かします。姫たちが隠した髪飾りが光り輝き、侍の嘘が暴かれます。最終的に、髪長彦は大臣から姫の一人と結婚を許され、幸せを手に入れます。

「犬と笛(芥川龍之介)」の感想・レビュー

芥川龍之介の『犬と笛』は、髪長彦という青年が、3匹の犬と共に困難に立ち向かう姿が描かれた感動的な物語です。冒頭で登場する葛城山の守り神たちが彼に犬を託すシーンは、古代の神話的な世界観を感じさせ、物語に一気に引き込まれます。3匹の犬「嗅げ」「飛べ」「噛め」が、それぞれの能力を発揮して物語を進展させるところも、非常に魅力的です。

特に印象に残るのは、食人鬼との戦いや、姫たちを救出する過程です。髪長彦が「飛べ」に乗り、生駒山の洞窟に囚われた駒姫を助ける場面では、彼の勇敢さと、犬たちの頼もしさが伝わってきます。「噛め」が食人鬼を倒すシーンは緊迫感があり、読者をハラハラさせます。駒姫と笠姫が再会する瞬間も、姉妹の絆が感じられ心温まる場面です。

土蜘蛛との戦いでは、髪長彦の知恵と機転が光ります。笛を使って土蜘蛛を惑わせ、その隙を突いて「噛め」によって倒す展開はスリル満点です。そして、侍が登場してからの裏切りの展開も、物語にさらなる深みを与えています。髪長彦の純粋さを利用して手柄を横取りしようとする侍の卑劣さには、思わず憤りを感じました。

物語のクライマックスでは、髪長彦が真実を明らかにし、侍がその嘘を暴かれるシーンが特に感動的です。駒姫と笠姫が髪長彦を信頼して金と銀の髪飾りを託したことで、彼の正当な功績が証明される場面は、読者としても大いに納得できるものでした。

『犬と笛』は、古代の日本を舞台にした壮大な冒険と、友情や信頼、裏切りといったテーマを描いた素晴らしい物語です。髪長彦と犬たちの活躍に胸が高鳴り、最後には爽快な結末を迎える一冊です。

まとめ:「犬と笛(芥川龍之介)」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 髪長彦は長い髪を持つ青年
  • 山の神々から3匹の犬を授かる
  • 食人鬼と土蜘蛛が物語に登場
  • 駒姫と笠姫の救出が主な展開
  • 侍が手柄を横取りする
  • 髪飾りが真実を明かす鍵となる
  • 髪長彦が最終的に報われる
  • 舞台は大和の葛城山や生駒山
  • 笛が重要なアイテムとして登場
  • 物語は神話的な要素が豊富