『ロマンスドール』は、彫刻家の哲雄とモデルの園子の愛と葛藤を描いた物語です。
哲雄は、先輩の紹介で「ロマンスドール」と呼ばれる人形を作る仕事を始めますが、そこでモデルを務めた園子と出会い、恋に落ちて結婚します。しかし、哲雄は仕事や家庭で嘘を重ね、次第に夫婦の間には溝ができていきます。
そんな中、園子がガンにかかり、二人はお互いの秘密や浮気などで一度は離婚の危機に陥りますが、最終的には愛と絆で乗り越えます。そして園子の死後、彼女の姿をモデルにしたドール「そのこ」が完成し、彼女の存在が永遠に刻まれるのです。
愛と別れ、嘘と再生をテーマにした感動のストーリーです。
- 哲雄と園子の出会いと関係
- ロマンスドール制作の背景とストーリー
- 哲雄と園子の結婚とすれ違い
- 園子のガン発覚と二人の和解
- ロマンスドール「そのこ」の完成とその後
「ロマンスドール(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)
第1章:嘘と出会い
彫刻科卒の哲雄は、先輩から突然紹介された工場で新しい仕事をすることになります。そこは「ロマンスドール」と呼ばれる男性向けの人形を作る工場で、社長の久保田と造形師の相川がリアルな女性の肌質を求めて日々工夫を重ねていました。哲雄は最初はその仕事に興味がありませんでしたが、生活のために働くことを決意します。哲雄がシリコンを型に流してドールを作り始めると、社長の久保田から「美乳でないとダメだ」と指摘されます。相川は、よりリアルな胸を作るためにモデルを探そうと提案し、哲雄もそれに賛成します。
そして、型取りの日に選ばれたモデルは、園子という魅力的な女性でした。園子はリアルな乳房の再現のための型取りに協力し、哲雄は彼女の胸に触れることとなります。その体験に感動した哲雄は、園子が帰る際に忘れたイヤリングを届けるため追いかけ、駅の階段で彼女に突然の告白をします。「好きです。付き合ってください」と大胆な告白をした哲雄に、園子は静かにうなずき、二人は付き合い始めます。
第2章:結婚生活と倦怠期
哲雄と園子は順調に交際を続け、結婚に至ります。哲雄の仕事も順調で、園子の胸をモデルにしたロマンスドールは売れ行きが良く、忙しい日々が続いていました。しかし、造形師の相川が急死してしまいます。哲雄は一人で工場を切り盛りするのは難しく、新たな造形師である両角を雇うことになります。さらに、社長の久保田から新素材エラストマーを使ったドールの開発を依頼され、哲雄と両角はそれに専念します。しかし開発が順調に進んだと思われた矢先、両角が開発データを盗み、別の会社で新しいロマンスドールが発売される事態に。
相川の死や信頼していた新入社員の裏切り、そして園子への仕事に関する嘘から、哲雄は次第に家に帰るのが辛くなっていきます。一方で園子も夫に言えない悩みを抱え、夫婦の間に溝が生まれていきました。そんな中、哲雄はゲームセンターで知り合った女性・ひろ子と親しくなり、彼女との時間を楽しむようになります。
第3章:園子の秘密
ある日、園子は「父の具合が悪い」と嘘をついて実家に帰ります。しかし、園子の母からの電話でそれが嘘だと分かり、哲雄は困惑します。園子が家を空けている間、哲雄はひろ子と一度だけ関係を持ってしまい、後ろめたい気持ちを抱えます。3日後、酔っ払った園子が男に連れられて帰ってきた時、哲雄は園子から「隠し事があるのではないか」と問い詰められます。哲雄は、これまで隠していた仕事の内容と浮気を告白し、謝罪します。それを聞いた園子も、一度だけ寂しさから浮気をしてしまったことを謝ります。
園子は突然離婚を切り出し、翌日には出て行くと言い張りますが、哲雄は必死に引き止めます。園子は実はガンにかかっており、外泊していたのは検査入院のためであったことを明かします。驚く哲雄でしたが、相川のアドバイスを思い出し、園子を大切にすることを誓います。そして退院後、二人は再び信頼関係を築き、愛し合うようになります。哲雄も仕事に意欲を取り戻し、相川の目指していたつなぎ目のないドールを開発する決意をします。
第4章:ロマンスドール・そのこ完成
園子のガンは再発し、治療の見込みがなくなってしまいます。しかし、園子は自らロマンスドールの新作のモデルになることを申し出ます。哲雄は彼女の姿をスケッチし、何度も愛し合いながら「そのこ」と名付けられたロマンスドールを制作していきます。園子が亡くなった後、完成した「そのこ」は高いリアルな再現度で話題となり、限定100体が高額で即完売します。しかし、そのあまりの完成度が問題となり、社長は警察に逮捕されることに。しかし、社長はすぐ戻ると楽観的で、次は摘発されないように「そのこ2号」を作ると言います。
哲雄は、園子との思い出を胸に海辺を歩きながら、彼女が周囲から「良き妻」と言われていたのはもちろんのこと、何よりも自分だけが知る、愛らしく情熱的な女性だったと振り返り、彼女への愛と感謝の気持ちをかみしめます。
「ロマンスドール(映画)」の感想・レビュー
『ロマンスドール』は、哲雄と園子の愛の物語を通じて、人間の葛藤や愛情の深さを描いた作品です。哲雄がアダルト人形の制作に携わるという一見ユニークな設定は、その裏にある愛とリアルな人間模様を際立たせます。特に、哲雄と園子の出会いから恋愛、結婚に至る流れは、哲雄の戸惑いと園子の純粋な心が交錯することで、見る人の心を掴む力強いストーリーとなっています。
結婚後の二人の生活には幸せな時期もありましたが、仕事のプレッシャーや嘘が積み重なり、夫婦の間に大きな溝ができていきます。哲雄は仕事のことを園子に隠し、園子も自身の病気のことを言えずに苦しむという二重の秘密が、物語にリアルな緊張感と悲しみを生み出しています。特に、哲雄が一度は浮気をしてしまうという行為は、彼の人間らしい弱さを感じさせ、読者も共感を覚える部分ではないでしょうか。
そして、園子のガンが発覚し、二人が再び向き合うシーンは感動的です。お互いに浮気や嘘などの裏切りがあったものの、最終的に本心から謝り、和解していく姿は愛の再生の瞬間を感じさせます。園子が病気と闘いながらも、ロマンスドールの新作のモデルになることを提案するシーンは、彼女の強い意志と哲雄への愛がひしひしと伝わってきます。
最後に完成する「そのこ」は、園子の美しさや愛らしさ、そして彼女のすべてが込められたドールです。「そのこ」が即完売するほどの出来栄えでありながらも、法に抵触するという皮肉な状況が物語の切なさをさらに引き立てます。それでも、哲雄は園子の存在が永遠に生き続けるような気持ちを抱きながら、彼女との思い出と共に歩んでいくのです。
この作品は、愛の形や人間関係の難しさ、そして再生への希望を描いた秀逸なストーリーです。
まとめ:「ロマンスドール(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 哲雄は彫刻家でロマンスドール制作工場で働くことに
- 園子は乳房モデルとして哲雄と出会う
- 二人は交際し、やがて結婚する
- ロマンスドールの開発が順調に進む
- 相川の急死により、新たな造形師両角が登場
- 両角の裏切りで新素材ドールの開発データが盗まれる
- 哲雄と園子の夫婦仲が悪化し、哲雄は浮気をする
- 園子のガン発覚とお互いの秘密の告白で和解
- 園子が新しいロマンスドールのモデルを提案
- 園子亡き後、彼女をモデルにしたドール「そのこ」が完成