「彼らが本気で編むときは、(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)

『彼らが本気で編むときは、』は、母親に突然置き去りにされた11歳の少女トモが、叔父マキオとその恋人であるりんこさんとの生活を通じて、愛情と家族の意味を見つけていく物語です。りんこさんは元男性で、女性として生きることを選んだ心優しい人物。トモはりんこさんの編み物や温かい料理に触れ、母親とは違う愛情を感じながら、新しい家族のかたちを知っていきます。

物語は、トモとりんこさんの心の交流を中心に、家族の絆やそれぞれの葛藤を丁寧に描いています。りんこさんの過去やカイとの友情、編み物を通して描かれる「煩悩」の供養など、繊細なエピソードが紡がれ、トモの成長が描かれます。最後にはりんこさんからの特別な贈り物で、新たな絆が生まれる感動の結末が待っています。

トモが新しい家族と出会いながら、自分の居場所を見つけていく過程や、家族のかたちの多様性を描いた温かいストーリーです。

この記事のポイント
  • トモとりんこさん、マキオの関係と暮らし。
  • りんこさんの過去とトモへの思いやり。
  • トモが編み物を通して学んだこと。
  • トモが母親とりんこさんの間で感じる葛藤。
  • 家族の絆と別れ、トモの成長。

「彼らが本気で編むときは、(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)

第1章:出会いと新しい生活

11歳の少女トモは、夜に働く母ヒロミと二人暮らしをしていましたが、生活のリズムが合わず、家ではほとんど一人で過ごしていました。ある日、母が突然出て行ってしまい、トモは本屋で働く叔父マキオのもとに向かいます。マキオは、トモを迎え入れ、今は大切な人と一緒に暮らしていると伝えます。トモが不安そうにしていると、マキオは「りんこさん」という女性を紹介します。しかし、りんこさんは体は女性でも元は男性で、戸籍上は男性のままです。

最初トモはりんこさんの存在に戸惑いますが、彼女の作る温かくて美味しい手料理に心が少しずつ解けていきます。りんこさんはトモにキャラ弁を作ってくれ、その可愛らしさにトモは大喜びします。しかし、慣れないキャラ弁を大事に取っておいたため、傷んでしまい、お腹を壊してしまいました。トモが申し訳なさそうにすると、りんこさんは笑顔で「それは愛されているから感じること」と優しく慰めます。

トモはマキオとりんこさんの家から学校へ通うことになります。これまで母親とすれ違いで孤独だったトモにとって、新しい家での生活は大きな変化でした。りんこさんの優しい心遣いと、マキオの温かいサポートで、トモは少しずつ新しい生活に慣れていくのでした。

第2章:トモの葛藤とりんこさんの過去

りんこさんが急な夜勤でいない日に、りんこの母親とその夫がトモの世話に来てくれます。りんこの母親はりんこさんのことをとても大切に思っており、「りんこを傷つけるようなことを言ったら許さない」とトモにきっぱり言います。幼い頃から女の子のようなものが好きだったりんこさんは、母親の理解とサポートを得て、周囲に馴染めないながらも自分らしく生きてきました。中学時代には水泳の授業を休みがちになり、体育教師に注意されることもありましたが、そんなりんこさんの思いを母親は受け止めてくれました。

ある日、トモはマキオと一緒に老人ホームを訪れ、りんこさんがコンビニのおにぎりを差し入れしてくれます。しかし、そのおにぎりを見るとトモは吐き気を感じてしまいます。トモは母親と暮らしていた時、いつも一人でコンビニのおにぎりを食べていたため、その記憶が拒否反応として体に表れていたのです。その夜、トモは悪夢にうなされますが、りんこさんの柔らかい胸に触れたことで、安心して眠りにつきました。

トモは、りんこさんの過去を知ることで、彼女の心の強さや優しさに触れていきます。マキオがりんこさんと出会ったのは、彼の母親が老人ホームでりんこさんの介護を受けていたことがきっかけでした。マキオは、りんこさんの献身的なケアと優しさに惹かれ、一目惚れしたのです。りんこさんとマキオ、トモの3人は、少しずつ家族のような存在へと変わっていきました。

第3章:りんこさんの「編む理由」と心の交流

トモはりんこさんとマキオと過ごすうちに、親子のような関係を築いていきます。ある日、りんこさんと一緒にスーパーで買い物をしていたトモは、幼なじみのカイとその母親に出会います。カイの母親は、りんこさんと一緒にいるトモを否定するような言葉を投げかけ、それに怒ったトモは、カイの母親に食器用洗剤をかけてしまいます。スーパーでは何も言わなかったトモですが、帰宅後、りんこさんに泣きながら謝り、自分の行動がりんこさんに迷惑をかけたことに気づきます。

りんこさんはトモに「怒りを感じたときは、ぐっと飲み込んで我慢することも大事だ」と教えます。そして、そんな時に彼女がしているのは「編むこと」でした。たくさんの毛糸で編まれた靴下のようなものを見たトモは、それが何のためのものか尋ねます。りんこさんは、それらは煩悩であり、男としての自分の部分への供養であると話します。そして、108つの編み物を完成させたら燃やして供養するということも伝えました。トモはその話を聞き、りんこさんと一緒に煩悩を編む手伝いをするようになります。

りんこさんはマキオに、戸籍を女性に変え、彼と結婚してトモの母親になりたいと告げます。マキオはそんなりんこさんを受け入れ、トモのことも真剣に考えると約束します。しかし、トモはクラスメートからりんこさんと一緒に暮らしていることが知られてしまい、孤立してしまいます。母親を見かけたトモは、家に戻っても母の姿がないことに落胆し、りんこさんに八つ当たりして押し入れに篭ってしまいます。

第4章:別れと新しい絆のかたち

トモが学校で孤立し、女友達が離れていく中、幼なじみのカイだけは変わらずトモと仲良くしていました。カイはマキオの家に遊びに来て、一緒にゲームをしたり、りんこさんとケーキを食べに行ったりして楽しい時間を過ごしますが、その姿をカイの母親に見られてしまいます。実はカイは同級生の男子に恋心を抱いていて、その思いを書いたラブレターを母親に見つかってしまいます。カイはその恥ずかしさと衝撃から自殺を試みますが、未遂で終わり、大事には至りませんでした。

その後、マキオの家にはカイの母親からの通報で児童相談所の職員が訪れ、トモの生活状況が確認されることになります。その晩、トモはりんこさんに抱きついて眠ります。そんな日々の中で、りんこさんは108つの煩悩をすべて完成させ、マキオとトモと一緒に海岸で編み物で作った煩悩を燃やす儀式を行い、心の中の願いを天に届けるように供養します。

ある日、突然トモの母ヒロミが帰宅し、トモと共に暮らすことを望みます。しかし、マキオはトモを引き取って育てたいと申し出ます。ヒロミは、りんこさんにはトモの成長に必要なサポートができないと激しく批判します。トモはその言葉に耐え切れず、母の背中を叩き続けますが、それでも母を完全に拒絶することができませんでした。その晩、トモはりんこさんに抱きしめられて泣きながら眠ります。

りんこさんは夜通し編み物をして、トモのためにある特別なものを編み上げます。朝になり、トモが別れの時を迎えると、りんこさんはトモに編んだおっぱいを手渡します。トモはその贈り物に驚きながらも、りんこさんの深い愛情を感じ、新しい絆を胸に刻みました。

「彼らが本気で編むときは、(映画)」の感想・レビュー

『彼らが本気で編むときは、』は、トモ、りんこさん、マキオの3人が家族のように心を通わせていく姿が心温まる作品です。最初は母と離れて叔父の家に行くことになったトモですが、そこで出会うりんこさんとの交流が彼女の心に変化をもたらします。りんこさんは元男性で、戸籍もそのままですが、女性として生活しています。彼女の優しさや繊細な心遣いは、トモにとってまるで母のような存在で、料理や編み物を通して愛情が伝わってきます。特に、りんこさんが編み物で煩悩を作り、それを供養する場面は彼女の心の葛藤や願いを象徴しており、とても印象的です。

物語全体を通して、トモがりんこさんやマキオと一緒に生活する中で家族の絆や自分自身の心の成長を経験していく様子が丁寧に描かれています。りんこさんがトモに怒りを「編む」ことで和らげると教え、トモもそれを学んでいく過程が微笑ましいです。また、幼なじみのカイとの友情や彼の悩みも描かれており、トモだけでなく、周りの人物も含めて多様な人間関係が織り成されているのが見所です。

物語が進むにつれて、トモが学校で孤立してしまったり、母親のヒロミが突然戻ってきてりんこさんと対立する場面など、緊張感のあるシーンもあります。トモが母親とりんこさんの間で葛藤する姿は、読者にも共感を与えるでしょう。ヒロミの一言一言はトモにとって辛く、同時に母を捨てることができないトモの心の葛藤が痛いほど伝わってきます。

そして、物語のクライマックスであるりんこさんとの別れ際、彼女がトモに手渡した「編み物でできたおっぱい」というプレゼントには驚きと同時に、りんこさんの愛情や願いが込められており、心温まるエンディングとなっています。これは、トモに対するりんこさんの母性と、2人の新しい絆の象徴であり、読者に深い感動をもたらします。作品全体を通して、トモが編み物を通じて心を通わせ、成長していく姿は多くの人の共感を呼ぶことでしょう。

まとめ:「彼らが本気で編むときは、(映画)」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • トモは母ヒロミと二人暮らしから、叔父マキオとりんこさんの家で暮らすようになる。
  • りんこさんは元男性で、女性として生きる決意をした心優しい人物。
  • トモはりんこさんの手料理や編み物に心を癒されていく。
  • りんこさんはトモに「怒りは編み物に込める」という独自の考え方を教える。
  • りんこさんの母親は、彼女のアイデンティティを深く理解し支える存在。
  • トモは母と暮らしていた記憶が原因でコンビニのおにぎりに拒否反応を示す。
  • 幼なじみのカイとの友情が描かれ、彼もまたトモに大きな影響を与える。
  • りんこさんの過去とマキオとの出会いが物語の中で重要な意味を持つ。
  • トモの母親がトモを取り戻しに来て、りんこさんと対立する。
  • 別れ際、りんこさんがトモに編んだ特別なおっぱいのプレゼントで物語は締めくくられる。