「猫物語 黒」は、阿良々木暦と羽川翼の関係を描いた物語です。
春休みの事件から1ヶ月後、暦は翼のことが気になり始めます。彼女が家族との問題で苦しんでいることを知った暦は、友人として彼女を助けようと決意。しかし、翼が「障り猫」という怪異に取りつかれてしまい、状況は悪化します。暦は彼女を救おうと奮闘しますが、物語は意外な展開を見せ、彼の初恋とも言える感情が静かに終わりを迎えます。
- 阿良々木暦と羽川翼の関係
- 春休みの事件後の暦の心境
- 翼の家族問題とその影響
- 翼が「障り猫」に取りつかれる経緯
- 暦の初恋の結末
「猫物語 黒」の超あらすじ(ネタバレあり)
阿良々木暦(あららぎ こよみ)は、春休みに起こった一連の事件から1ヶ月以上が経過したゴールデンウイーク初日の昼下がりを過ごしていました。しかし、彼の心は休まることがありませんでした。なぜなら、事件以来、同級生であり友人である羽川翼(はねかわ つばさ)のことが気になって仕方がなかったからです。暦は、この悩みをどうすれば良いのか分からず、小さい方の妹である阿良々木月火(あららぎ つきひ)に相談することにしました。
暦は月火に、「友達が恋愛について悩んでいる」と、まるで自分のことではないかのように話を持ちかけます。しかし、月火は、暦が友達が少ないことを知っており、すぐにこれは暦自身の相談だと見抜きます。そして、「それは恋だよ」と言いますが、恋愛経験の少ない暦は、それが恋であるとは認めようとしません。
その後、暦は同じ相談を大きい方の妹、阿良々木火憐(あららぎ かれん)にも持ちかけましたが、火憐も月火と同じように「恋だ」と言います。それでも納得できない暦は、羽川翼の気持ちを確かめようと決意し、ある日、彼女に「スカートをめくらせてくれ」と珍妙なお願いをします。翼は当然それを断り、暦に「そんなことをしても何も解決しないよ」と諭します。
その後、翼が家族の話を始めた際、彼女はいつもと違い、どこかバツの悪そうな表情を見せました。翼は、自分の家族が血縁関係がなく、しかも父親から暴力を受けていることを告白しました。それでも彼女は、両親をかばおうとする健気な姿を見せます。これを聞いた暦は、完璧に見える羽川翼にも大きな悩みがあり、その完璧さゆえに「何かが欠けている」と感じるようになりました。暦は彼女を友人として助けたいと思い、吸血鬼としての力で翼の傷を癒しますが、その後も彼女のために何ができるのかを考え続けます。
暦は、吸血鬼の力を持つ少女、忍野忍(おしの しのぶ)に会うために、学習塾跡に向かいました。この場所は、以前から怪異に関する出来事が起こっている場所であり、暦にとっても馴染みのある場所です。学習塾跡には、忍がいつものように無表情で座っていました。暦は、忍野メメ(おしの めめ)への差し入れとしてドーナツを持参しましたが、忍が予想以上にドーナツに興味を示し、驚きます。忍の姿を見た暦は、「吸血鬼の威厳がまるでないな」と少しショックを受けました。
その後、忍野メメが現れ、羽川翼のことについて話を始めます。どうやら翼は、道端で死んだ猫を埋葬した際に、「障り猫」と呼ばれる怪異に取りつかれてしまった可能性があると言います。暦はそれを確認するため、再び羽川のもとを訪ねました。しかし、時すでに遅く、翼の体には障り猫の影響が現れており、彼女は両親に手を掛けてしまっていました。
暦は、なんとか翼の両親を救うことができましたが、ブラック羽川と化した翼は激怒し、暦に襲いかかります。彼は片腕を失いながらも何とか逃げ出し、学習塾跡に戻り、忍の力を借りて回復を図りました。回復した暦は、忍野メメから「エナジードレイン」を使う彼女との相性が最悪だと告げられ、頭を悩ませます。
暦は、羽川翼の家にこっそりと侵入しました。彼は、翼の家の中を確認しようとしましたが、何かが違うと感じました。家の中をすべて確認し終えると、驚くべきことに、翼の部屋が存在していないことに気づきました。暦は、その事実に恐怖を感じ、何もできずに家に帰りました。
家に戻った暦は、月火に頼りながら疲れ切っていました。その後、月火から「ブラック羽川」という噂を聞きました。どうやら、翼が夜な夜な街を徘徊しているという噂が広まっていたようです。暦は妹たちを心配させまいと努めましたが、心の中では不安が募っていきました。
そのころ、忍野メメは、ブラック羽川と戦っていました。しかし、メメは20回もの戦いに全敗してしまいます。通常の「障り猫」なら、ここまで手こずることはないと言いますが、翼は普通の人間とは違い、非常に賢い少女でした。その賢さが、怪異である障り猫の力を強めているとメメは分析します。メメは、「ストレスがすべてなくなれば、障り猫は消えてなくなるだろう」と言いますが、暦は彼女を放置できません。
そこで暦は、忍に助けを求めました。忍は、怪異のみを切ることができる特別な刀を体内から取り出し、暦に託します。暦はこの刀を使って、ブラック羽川と戦う決意を固めます。
暦は、忍から受け取った刀を使い、羽川翼と障り猫を分離する計画を立てました。彼は翼に嘘のメールを送り、彼女を呼び出しました。しかし、そこに現れたのは翼本人であり、暦は驚きました。実は、怪異の力を使って暴れていたのは、障り猫の意思ではなく、羽川翼自身の意思だったのです。
暦は翼の異形さを再認識しつつも、「それが君なんだ、羽川」と彼女を説得しようとします。しかし、翼は暦が自分の思い通りにならないことに失望し、ついには暦に襲いかかります。暦は、忍からもらった刀を体内に仕込んでおり、襲われることを予見していましたが、翼は分離することができず、苦しむことになります。
暦は、自分の判断が間違っていたことを後悔し始めますが、体が動かず、意識も遠のいていきます。そのとき、忍が現れ、暦に自分の血を分け与え、彼を助けます。忍は見本を見せるかのように障り猫に襲いかかり、退治に成功しました。
事件が無事に解決し、忍野メメは暦に「委員長ちゃん(羽川翼)と結婚すればよかったじゃないか」と冗談めかして言いますが、暦は「僕は彼女に恋してはいないよ」と静かに答えました。暦の初恋のような気持ちは、彼の心の中にそっとしまわれることになりました。
「猫物語 黒」の感想・レビュー
「猫物語 黒」は、阿良々木暦と羽川翼の関係が深く掘り下げられた物語で、とても感慨深い内容でした。暦が羽川翼に対して抱く複雑な感情、そして彼女を救いたいという強い思いが物語全体を通じて伝わってきました。翼は一見完璧な少女のように見えますが、家庭環境の問題や「障り猫」という怪異に取りつかれることで、彼女の内面の苦しみが明らかになります。
暦が彼女のために何ができるかを必死に考え、忍野忍や忍野メメの助けを借りて解決策を模索する姿は、とても印象的でした。特に、翼が「障り猫」として暴れ出す場面では、彼女の心の中にある強いストレスや葛藤が見事に表現されています。
また、暦が彼女を救うために、忍から託された刀を使う決断をする場面では、彼の決意の強さが感じられました。そして、最終的に彼が初恋のような感情を胸にしまい込むラストシーンは、切なくも美しい結末でした。
この物語を通して、暦と翼の間にある絆や、それぞれのキャラクターが抱える内面的な葛藤が非常に丁寧に描かれていると感じました。特に、暦が翼を助けたいという純粋な気持ちが、彼の成長や人間関係の深まりに繋がっていることがよくわかります。
総じて、「猫物語 黒」は、友情や恋愛、そして人間関係の複雑さをテーマにした作品であり、非常に感動的で心に残る物語でした。キャラクターたちの成長や変化を追いかけながら、読者自身も多くのことを考えさせられる作品だと感じました。
まとめ:「猫物語 黒」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 阿良々木暦は羽川翼のことが気になり始める
- 暦は妹たちに相談するが、恋だと指摘される
- 翼が家族との問題で苦しんでいることを知る
- 翼の家庭には暴力が存在していることが判明
- 暦は翼を助けるために吸血鬼の力を使う
- 翼が「障り猫」という怪異に取りつかれる
- 暦は翼を救おうと奮闘するが状況は悪化する
- メメや忍の助けを借りて暦は解決策を模索する
- 翼が怪異を利用して暴れていることが明らかになる
- 暦の初恋のような感情が静かに終わりを迎える