「黒うさぎたちのソウル」の超あらすじ(ネタバレあり)

「黒うさぎたちのソウル」は、東京で育った沖縄出身の少女、島袋麻利と、鹿児島出身の昇奈保子が織りなす友情と音楽の物語です。

幼なじみのふたりは、音楽を通じて強い絆を築きますが、高校時代に音楽に対する意見の違いから絶交。しかし、困難を乗り越えた末に再び友情を取り戻します。成長した彼女たちは、新たな挑戦と再会を通じて、自分たちの音楽の道を歩み始めます。

この物語は、音楽と友情がテーマの青春ドラマです。

この記事のポイント
  • 主人公の島袋麻利と昇奈保子の友情について
  • 音楽が物語の中心テーマであること
  • ふたりが高校時代に絶交する理由
  • 困難を経て友情を再び取り戻すこと
  • 物語が成長と新たな挑戦を描いていること

「黒うさぎたちのソウル」の超あらすじ(ネタバレあり)

島袋麻利は、東京に住むウチナーンチュ(沖縄出身者)の両親のもとに生まれました。麻利は、生まれてからずっと東京23区の外で暮らしており、沖縄の地を踏んだことはありません。しかし、両親から沖縄の文化や音楽を教えられて育ったため、心の中ではいつも沖縄を感じていました。

麻利には、幼なじみの昇奈保子がいます。奈保子は、鹿児島県から移住してきた祖父母の影響で、南国の文化に親しんで育ちました。ふたりは、小学校時代から毎日一緒に学校に通うほど仲が良く、いつも一緒に過ごしていました。

そんなふたりがよく通っていたのが、近所にある居酒屋「黒うさぎ」です。この居酒屋は、奄美大島の天然記念物であるアマミクロウサギをモチーフにしており、店内には奄美や沖縄の伝統的な音楽が流れ、郷土料理が楽しめます。麻利と奈保子は、お座敷の隅っこに座りながら、郷土料理をつつきつつ、お気に入りのミュージシャン「SUGIちゃん」について話し合うのが大好きでした。

「SUGIちゃん」は、赤く染めた髪をダイナミックに振り回しながら、エレクトリックギターやバイオリンを巧みに操るカリスマ的なミュージシャンです。彼女の音楽は、ロックと伝統音楽を融合させた独特のスタイルで、麻利と奈保子はその魅力に夢中になっていました。中学を卒業する年、SUGIちゃんがリーダーを務めるバンドがラストコンサートを迎えたことは、ふたりにとって特別な出来事でした。

高校生になった麻利は、軽音楽部に入部しました。麻利は楽器を演奏するわけではなく、主にスタジオの予約や照明係を担当していましたが、部の活動に積極的に参加していました。軽音楽部の部長である藤原敬太は、爽やかなギタリストで、部員たちの信頼も厚い人物です。敬太は麻利に2度告白しましたが、麻利はそのたびに丁寧に断っていました。

一方、奈保子は奄美民謡の才能を持ち、祖父から教わったその技術をコンクールで発揮し、入賞するほどの腕前です。奈保子は普段はおとなしい性格ですが、音楽の話になると急に饒舌になり、自分の思い入れや知識を熱く語ります。しかし、その一方で、クラスメートとの関係がうまくいかず、少し孤立していました。

高校生活を送る中で、麻利はウェーブのかかった茶髪にし、奈保子は相変わらず黒髪のおかっぱ頭のままでした。そのため、自然とふたりの関係は疎遠になっていきました。そんなある日、奈保子が大好きなSUGIちゃんが奄美を代表する歌手に楽曲提供したことが話題になります。奈保子は「とうとう奄美が沖縄に勝った」と自慢げに話し、これに対し麻利は「海の透明度でも文化の豊かさでも断然沖縄の方が優れている」と反論します。ふたりは口論の末、校門の側で平手打ちを浴びせ合い、決定的な仲たがいをしてしまいます。その後、ふたりは一切口をきかなくなりました。

高校生活が終わる頃、麻利は軽音楽部の元部長である佐山大樹と付き合い始めました。佐山はハイトーンの歌声が魅力的なボーカリストで、麻利は彼の才能に惹かれていました。しかし、付き合い始めてすぐに麻利は佐山の暴力的な一面に直面します。佐山は麻利に対して度々暴力を振るい、精神的にも追い詰める行動を取るようになります。

佐山との関係が次第に悪化し、麻利は心身ともに疲弊していきます。彼女は美容師の専門学校に通っていましたが、佐山との問題が原因で中退してしまいます。さらに、佐山がリーダーを務めていたパンクバンドも解散し、彼の生活は乱れていきます。

ある夜、麻利がひとりで夜道を歩いていると、突然後ろから1台の車が近づいてきました。車には佐山と彼の仲間たちが乗っており、麻利を車に引きずり込もうとします。しかし、そこへ奈保子が駆けつけ、麻利を助け出します。奈保子は携帯電話で車のナンバープレートを撮影し、麻利は無事に助かりました。この出来事をきっかけに、麻利と奈保子は再び友情を取り戻します。ふたりは、沖縄も奄美も同じ島であり、上も下もないことを認め合うようになりました。

佐山との問題が解決したことで、麻利の生活は再び平穏を取り戻しました。麻利は大学進学を望んでいなかったため、ネイリストを目指して勉強を始めました。一方、敬太はガソリンスタンドでアルバイトをしながら、音楽でのメジャーデビューを目指して活動を続けています。

奈保子は敬太との「黒うさぎセッション」というライブを成功させ、その後ふたりは一時的に親密な関係になりますが、結局4年ほどで別れることになります。敬太はその後も定職に就かず、夢を追い続ける生活をしています。彼は、年上の公務員の女性に支えられながら、夢を追いかけることをやめられないでいます。

一方、SUGIちゃんは、ロックや民謡の枠を超え、今でも音楽活動を続けています。彼女の音楽は、ジャンルの境界を超えた独自のスタイルで、多くのファンを魅了し続けています。

高校を卒業してから7年が経ち、麻利と奈保子は再び再会することになりました。再会の場は、ライブハウスの最寄り駅です。奈保子が待ち合わせ場所に到着すると、麻利が笑顔で迎えます。ふたりは高校時代の思い出話に花を咲かせながら、ライブハウスへと向かいます。

その夜、ライブハウスで演奏を行うのは、これから売れると評判の新人バンドです。会場が真っ暗になり、音楽が始まると、麻利と奈保子は自然と両腕を振り上げ、飛び跳ねて音楽を楽しみます。ふたりは、再び音楽を通じて絆を深め、新たな未来に向かって歩み始めるのでした。

「黒うさぎたちのソウル」の感想・レビュー

「黒うさぎたちのソウル」は、音楽を通じて結ばれた少女たちの友情と成長を描いた素晴らしい物語です。島袋麻利と昇奈保子は、それぞれ沖縄と鹿児島という異なるルーツを持ちながらも、共通の音楽への情熱で深い絆を築いていきます。特に、ふたりが居酒屋「黒うさぎ」で大好きなミュージシャン「SUGIちゃん」について熱く語り合う場面は、友情の温かさを感じさせてくれます。

高校時代に訪れる試練は、ふたりの関係に大きな波乱をもたらします。SUGIちゃんが奄美の歌手に楽曲を提供したことをきっかけに、音楽に対する意見の違いからふたりが絶交する場面は、友情の複雑さをリアルに描いています。しかし、この対立は物語の中で非常に重要な要素であり、ふたりが互いに成長するためのプロセスとして描かれています。

麻利が軽音部の元部長である佐山大樹と関わり、その後に訪れる困難は、物語の中で非常に緊張感をもたらす展開です。佐山との関係が悪化し、麻利が心身ともに追い詰められていく中、奈保子が勇敢にも彼女を助けに駆けつける場面は、友情の強さと奈保子の優しさが際立っています。この出来事を通じて、ふたりは再び友情を取り戻し、過去の対立を乗り越えていきます。

最後に、麻利と奈保子がライブハウスで再会し、再び音楽を楽しむ姿は、成長した彼女たちが新たなステージに進んでいることを象徴しています。ふたりがかつての友情を取り戻し、音楽を通じて再びつながる様子は、とても感動的です。この物語は、音楽と友情の力が人々をどれだけ強く、そして幸せにするかを教えてくれる、心温まるストーリーだと思います。

まとめ:「黒うさぎたちのソウル」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 主人公は島袋麻利と昇奈保子である
  • 東京で育った少女たちが物語の中心である
  • 音楽がふたりの共通のテーマである
  • 居酒屋「黒うさぎ」が重要な舞台である
  • 高校時代に音楽の意見の違いで絶交する
  • 佐山とのトラブルが麻利に試練を与える
  • 奈保子が麻利を危機から救う
  • ふたりは友情を取り戻す
  • 麻利と奈保子がそれぞれの道を進む
  • 最後にふたりがライブハウスで再会する