「ナオミとカナコ」の超あらすじ(ネタバレあり)

「ナオミとカナコ」のあらすじをネタバレありで紹介します。

小田直美は憂鬱な日々を過ごしていましたが、友人の服部加奈子が夫からの深刻な暴力に苦しんでいることを知り、二人は夫殺害を計画します。直美は中国人女社長の李朱美と出会い、その協力を得て計画を進めますが、予想外の綻びが次々と現れ、二人は追い詰められていきます。

最後に、上海への逃亡を試みますが、彼女たちの運命は不透明なまま物語は幕を閉じます。

この記事のポイント
  • 直美と加奈子が夫殺害を計画する理由
  • 李朱美との出会いとその影響
  • 計画が進む中での予想外の綻び
  • 二人が追い詰められていく過程
  • 上海への逃亡とその結末

「ナオミとカナコ」の超あらすじ(ネタバレあり)

小田直美は、葵百貨店の外商部で働いていました。直美は大学で西洋美術史を学び、キュレーターの資格を取っていました。彼女の夢は、本店の催事部で美術展に関わることでしたが、現実は違いました。外商部では、年間何百万も使う顧客と取引をしなければならず、直美はその仕事に満足していませんでした。直美は、毎日憂鬱な気持ちで仕事をしていたのです。

ある日、直美は大学時代の友人で、唯一の親友である服部加奈子のマンションを訪れました。加奈子は大学卒業後、大手電機メーカーに就職し、エリート銀行員の服部達郎と結婚していました。加奈子は専業主婦として幸せな家庭を築いているように見えていました。しかし、直美が久しぶりに加奈子に会うと、彼女の頬が赤く腫れているのを見て驚きました。直美が心配して理由を尋ねると、加奈子は夫の達郎から日常的に暴力を受けていることを打ち明けました。

直美は、自分の幼少期に母親が父親から暴力を受けていた辛い記憶が蘇り、加奈子をなんとか助けたいと思いました。しかし、離婚や逃亡では達郎の仕返しが怖いと感じた直美と加奈子は、相談の結果、達郎を殺す計画を立てることを決意しました。こうして、二人は冗談とも本気ともつかない夫殺害計画を練り始めました。

直美は、仕事の一環として都内のホテルで行われた商談会に出席しました。そこで、葵百貨店の展示品である高級腕時計が盗まれる事件が発生しました。犯人は、中国人向けの食料品店やカラオケ店を経営する女社長、李朱美でした。朱美は複数の質屋に盗んだ時計を売ろうとしていましたが、葵百貨店にとって特別なお客様だったため、直美は警察に通報せず、内密に交渉を行いました。

直美は、時計を返すことと、さらに別の時計を購入することを条件に朱美と和解しました。朱美は時計を盗んだことを全く反省していませんでしたが、そのバイタリティに溢れた姿に直美は次第に惹かれるようになり、二人は頻繁に食事を共にする仲になりました。

直美は加奈子と達郎の問題について朱美に相談しました。朱美は、中国人ならではのはっきりとした価値観を持っており、その意見に直美は妙な勇気をもらいました。この出会いをきっかけに、直美と加奈子の夫殺害計画は現実のものとして進んでいきました。

さらに、朱美のもとで働く林竜輝という中国人密入国者と出会いました。林は達郎にそっくりで、直美と加奈子は彼を利用して計画を進めることを考えました。また、直美は認知症を患った資産家の顧客、斎藤夫人から口座の管理を任されるようになり、計画に有利な状況が整いました。

二人はまず、達郎が斎藤夫人の口座から1千万円を横領したと見せかけることを計画しました。その後、林竜輝に達郎のパスポートを持たせて中国へ逃亡させ、達郎が失踪したように見せかける計画を練り上げました。

直美と加奈子はついに計画を実行に移す日を迎えました。酔って帰ってきた達郎が寝ている間に、二人は彼の首を絞めて殺害しました。そして、スポーツ用品店で購入した遠征バッグに達郎の遺体を入れ、翌朝の人気のない時間帯に車で三国峠の頂上まで運び、遺体を埋めました。

その後、直美と加奈子は林竜輝に報酬として200万円を渡し、二度と日本に戻らないことを約束させました。そして、林は達郎として中国へ逃亡しました。二人はこれで完全犯罪を成し遂げたと思い、安心していました。

しかし、計画には予想外の綻びが次々と現れ始めます。達郎の同僚が、エリート銀行員が横領するにしては金額が小さすぎると指摘し、疑問を持ち始めました。さらに、達郎の妹である服部陽子が、達郎の失踪に疑問を抱き、興信所を使って執拗に達郎の足取りを調べ始めました。防犯カメラの映像や加奈子の行動が怪しいと感じた陽子は、二人が達郎を殺害したのではないかと疑い始めました。

陽子の調査が進む中で、直美と加奈子はどんどん追い詰められていきました。さらに、加奈子が妊娠していることが発覚します。子どもは達郎のものでしたが、加奈子は強い意志でこの子どもを生みたいと考えました。

一方、陽子は直美と加奈子が達郎を殺害したと確信し、加奈子に自ら命を絶つように迫ります。加奈子はこれを拒否し、シラを切り通しましたが、翌日に警察から任意同行を求められ、厳しい取り調べを受けることになりました。

直美は朱美に助けを求め、弁護士を派遣してもらいました。弁護士は任意同行に拘束力がないことを指摘し、翌日に出頭することを条件に加奈子を解放させました。警察から解放された後、直美は加奈子に国外逃亡を提案しました。逮捕状が出てしまえば出国ができなくなるため、警察の捜査が進む前に一刻も早く出国する必要がありました。

翌朝、直美と加奈子は朱美の助力を受け、上海への逃亡を決意しました。荷物をまとめ、空港へ急ぎますが、そこに陽子と興信所の人間が現れました。二人は執拗に追跡され、カーチェイスさながらの緊迫した逃亡劇が繰り広げられました。

しかし、直美と加奈子はなんとか羽田空港に到着し、極度の緊張の中で出国審査を無事に通過しました。二人は無事に上海行きの飛行機に乗り込み、出発前に固く抱きしめ合い、逃亡の成功を喜びました。しかし、その先に待つ未来は不透明なままで、物語はここで幕を閉じます。

「ナオミとカナコ」の感想・レビュー

「ナオミとカナコ」を読み終えて、非常に複雑で緊張感のある物語だと感じました。小田直美と服部加奈子の二人は、共に困難な状況に立たされ、特に加奈子が夫の達郎から受ける暴力に苦しんでいることが心を痛めました。この物語の中で、彼女たちが選んだ解決策は極端であり、また倫理的にも大きな問題を含んでいますが、彼女たちが追い詰められた末にその選択をするしかなかったという心情は、読者として理解することができました。

直美が李朱美という中国人女社長と出会い、その影響を受けて計画を進めていく過程は、物語の中でも特に緊張感が高まる部分です。朱美のバイタリティや独自の価値観が、直美に与える影響が大きく、計画が現実のものとなっていく様子に引き込まれました。また、林竜輝という密入国者が計画に加わることで、物語がさらに複雑さを増し、先の読めない展開が続きます。

計画が順調に進んでいるように見えたものの、次第に綻びが現れ、直美と加奈子が追い詰められていく様子には、手に汗握る思いがしました。特に、達郎の妹である服部陽子の執拗な調査と、興信所を使った調査が、二人を追い詰めていく過程は非常にリアルで緊張感がありました。

最後に、二人が上海へ逃亡しようとする場面では、これまでの努力が報われるのかどうかという不安と期待が入り混じり、非常に感情移入しました。しかし、逃亡に成功した後も、彼女たちの未来がどうなるのかは描かれておらず、不透明な結末に少しの不安を感じました。

全体を通して、直美と加奈子の友情と苦悩が描かれており、読み応えのある物語でした。倫理的な問題を抱えつつも、彼女たちの心情に共感せざるを得ない部分が多く、深く考えさせられる作品でした。

まとめ:「ナオミとカナコ」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 小田直美は外商部で憂鬱な日々を過ごしている
  • 服部加奈子が夫から暴力を受けていることが発覚する
  • 直美と加奈子は夫殺害を計画する
  • 直美が中国人女社長の李朱美と出会う
  • 李朱美の影響で殺害計画が具体化する
  • 林竜輝という中国人密入国者が計画に加わる
  • 達郎の殺害と遺体の隠蔽が実行される
  • 計画に予想外の綻びが生じ始める
  • 直美と加奈子が追い詰められていく
  • 最後に二人が上海への逃亡を試みる