「朱より赤く」の超あらすじ(ネタバレあり)

「朱より赤く」は、主人公〈私〉が舞妓としての苦難を乗り越え、様々な愛と試練を経て、最終的に出家に至るまでの波乱万丈な人生を描いた物語です。

父に騙されて舞妓となった〈私〉は、東京での新生活や、相場師の松田道造との結婚を経て、多くの困難に直面します。映画界での失敗と離婚後、文筆業に転身し、最後には出家して新たな人生を歩むことになります。

詳細なあらすじとネタバレを知りたい方におすすめの記事です。

この記事のポイント
  • 主人公〈私〉の舞妓としての苦難
  • 東京での新たな生活と挑戦
  • 松田道造との結婚とその後の困難
  • 映画界での失敗と離婚
  • 最終的な出家と新たな人生

「朱より赤く」の超あらすじ(ネタバレあり)

主人公〈私〉、名をみつと言います。私の父は鍛冶職人で、母は料理屋の仲居でした。私は、父の姉であるおばさんの家で育てられましたが、12歳の時に父に騙されて、大阪の茶屋に売られてしまいました。そこでは、舞妓として働くことになりました。

舞妓としての修行を終えた私は、大阪の花柳界での生活が始まりました。しかし、多都葉姉さんという舞妓に快く思われていませんでした。彼女は私に無理やり客を取らせることが多く、そのため私は辛い日々を送ることになりました。ある日、東京からやってきた歌舞伎役者の市川松蔦と出会い、彼に恋をしました。彼と一緒に過ごすことで、初めての愛を感じることができましたが、その後、松蔦とは会えなくなってしまいました。

その後、私は結婚の話が持ち上がりましたが、断ることにしました。その時、金物問屋の中原さんと知り合い、彼と深い仲になりました。中原さんが私の身請けを申し出てくれたのですが、一緒に旅行中に松蔦の写真を見られ、縁を切られてしまいました。悲しみに暮れる中、私は自分の左手の小指を切り落とし、中原さんに証明として渡しました。

大阪での評判が悪化し、私の名前は「毒婦」として知られるようになりました。多都葉姉さんからの責任追及もあって、私は東京に移ることを決めました。新富屋というお茶屋で沙也香姉さんに世話になりながら、東京で新たな生活を始めました。

しかし、大阪からの大物客である義どんが東京にやってきて、私を五千円で買い取ることになりました。東京では「琴葉」と名乗り、芸妓として働き始めました。様々な嫌な客にも応えながら、日々を過ごしました。そんな中、片岡さんという上品なお客に世話になり、贅沢な生活を送りましたが、彼は外国に行ってしまいました。

その後、佐藤さんという九州の男性に世話になることになりました。彼は私を妾として迎え入れたものの、ケチになり、私を束縛するようになりました。17歳から6年間、その生活に耐えた私は、佐藤さんと別れる決断をしました。財力がなくなった彼と別れた後、私は再び大阪の義どんに頼ることになりました。

大阪に戻った私は、義どんの養女となり、彼の屋形で働いていました。そこで相場師の松田道造と出会い、彼に二万円で身請けされ、妻となりました。大正9年には松田と一緒にアメリカに渡りましたが、松田は私をホテルに閉じ込め、自分は浮気を繰り返しました。

私はアメリカで勉強したいと申し出て、寄宿舎付きの家政学校に入学しました。そこでイルムガルドというお金持ちの娘と恋愛関係になりましたが、学校にバレて二人とも退学となりました。駆け落ちを試みましたが、松田の手の者に見つかり、日本に帰国することになりました。

帰国後、松田の指示で映画に出演することになりました。彼は映画界の重役であったため、私が映画で共演した男性と浮気していると疑いました。私が実際にその男性と身体の関係を持ったことで、松田からひどい折檻を受けました。逃げ出したものの、義どんに見つかり、再び松田のもとに戻されました。

松田のもとで閉じ込められていた私は、自殺を試みるも女中に発見され、一命を取り留めました。その後、私はバーのマダムとして働くようになり、ようやく離婚することができました。生活のために女優を目指しましたが、演技がうまくできず、映画に一本出演した後、出演依頼が途絶えました。

映画会社から給料をもらいながら、自分の半生について雑文を書き、「サンデー毎日」に掲載してもらいました。しかし、ある映画監督からは女優としての才能がないと断言されてしまいました。そのため、女優の道をあきらめ、引っ越して文筆業に専念しました。暮らしはますます苦しくなり、奈良に戻って住みかを転々としました。

文筆業に専念する中で、暮らしが厳しくなり、奈良に戻って転々としました。高浜虚子の「ホトトギス」の仲間に入れてもらい、俳句を投稿するようになりました。朝夕に観音像にお灯明をあげ、観音経を唱える日々を送りました。やがて出家を考えるようになり、庵主さんから偉いお坊さんを紹介されました。

数年後、昭和9年9月に38歳となった私は、正式に得度を受け、出家することができました。新たな人生のスタートを切り、心を新たにして歩み始めました。

「朱より赤く」の感想・レビュー

「朱より赤く」は、主人公〈私〉が舞妓としての厳しい生活を経て、様々な試練に直面しながらも最終的には出家するという壮大な物語です。

物語の初めでは、主人公〈私〉は父に騙され、大阪の茶屋に売られてしまいます。舞妓として修行を積んでいく中で、多都葉姉さんから厳しい扱いを受けながらも、東京の歌舞伎役者・市川松蔦との恋愛により初めての愛を経験します。しかし、その後は松蔦とは会えなくなり、金物問屋の中原さんとの関係が続きますが、最終的に彼との縁も切れてしまいます。

東京に移り、芸妓として新たな生活を始めた〈私〉は、大阪からやってきた大物客・義どんに買い取られ、再び大阪に戻ります。相場師の松田道造との結婚によってアメリカに渡りますが、松田の浮気や自分の恋愛問題などに苦しむことになります。アメリカでの勉強や恋愛のトラブルが原因で、日本に戻ることになります。

帰国後、映画界に挑戦するものの失敗し、離婚後は文筆業に転身します。文筆業を続けながらも、生活は厳しく、奈良に移り住んで俳句を投稿するなどしながら過ごします。最終的には出家する決断をし、心を新たにして新しい人生を歩み始めるのです。

この物語は、主人公が数々の困難に立ち向かいながらも、自らの人生を切り開く姿を描いており、その成長と変化が感動的です。

まとめ:「朱より赤く」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 主人公〈私〉は舞妓として苦難を経験する
  • 12歳で大阪の茶屋に売られる
  • 東京で新たな生活を始める
  • 相場師の松田道造と結婚する
  • 松田によりホテルに閉じ込められる
  • アメリカでの勉強や恋愛が問題になる
  • 映画界での成功が失敗に終わる
  • 離婚後、文筆業に転身する
  • 高浜虚子の「ホトトギス」に参加する
  • 最終的に出家し新たな人生を歩む