「わるもん」は、箕島家を舞台にした物語で、天真爛漫な純子が主人公です。
純子の父・義春は無骨で家族と疎遠ですが、ある日突然姿を消します。家族は変化に戸惑いながらも日常を取り戻しますが、純子は父に似たミシマさんとの再会を通じて、父の別の一面を知ります。物語は、父の帰還や純子の成長を描き、家族の絆を再確認する展開です。
この記事では、作品の詳細なあらすじと結末までのネタバレをお伝えします。
- 物語の舞台と主人公について
- 主人公の父・義春のキャラクターと家族との関係
- 父の突然の不在と家族の反応
- ミシマさんとの再会で知る父の別の一面
- 物語の結末と家族の絆の再確認
「わるもん」の超あらすじ(ネタバレあり)
箕島純子は明るく、天真爛漫な性格を持つ女の子です。彼女の家族は、母の箕島涼子、父の箕島義春、そして二人の姉で構成されています。涼子は近所で人気のある着付け教室の先生であり、和服の着付けを教えています。一方、義春は「箕島硝子」という名前の小さなガラス工場を経営しています。この工場は、純子の家の庭に隣接しており、家族と密接に関わっています。
純子には二人の姉がいます。大きい姉ちゃんと呼ばれる箕島京子は、地元のデパートで働いており、家計を支えています。小さい姉ちゃんと呼ばれる箕島裕子は、まだ学生で、学校に通いながら勉強を頑張っています。純子は姉たちをとても尊敬しており、彼女たちのように立派な大人になりたいと思っています。
ある日、純子は学校の帰り道で、中学生の少年たちにからかわれてしまいます。「お前の家ではビーカーでお茶を飲むんだろう」と、彼らは純子をからかいました。純子は少し悲しくなりながら家に帰りますが、家に着くと、家族全員が喪服を着ていることに気づきます。その日は、純子の祖母、ばあばの年忌法要が行われる日だったのです。
法要の間、純子は退屈で、なかなかじっとしていられません。ついには、少しやんちゃをしてしまいます。法要が終わると、葬儀会社の人と母の涼子が、将来の義春の葬儀について打ち合わせを始めます。義春はまだ元気ですが、将来を見越しての準備です。
箕島硝子は、昭和二年に創業された別のガラス会社が前身です。義春がその会社の二代目から設備と顧客を引き継ぎ、自分の家に小さな工場を作り、「箕島硝子」として再出発したのです。義春は少し無骨で、家族とのコミュニケーションが少ないため、家族からは時折「わるもの」扱いされています。ある寒い冬の日、涼子は義春を家から出て行かせる決断を下しました。
義春は、よく家の縁側に寝そべって過ごしていました。純子の家は窪地にあり、高台に散歩に来た幼稚園の園児たちからは、義春の姿が丸見えでした。園児たちは、動物園の動物を見るような気持ちで義春を眺めていました。しかし、ある日を境に、義春は家から姿を消してしまいました。
義春がいなくなると、涼子は彼の洗濯物と家族の洗濯物を分けて洗う必要がなくなり、手間が減りました。また、義春が縁側で寝そべることもなくなったため、涼子は上機嫌になりました。義春の不在は、涼子にとって少しだけ心地よいものでした。
一方で、純子は義春の行方を心配し、彼を探そうと家の外に出かけました。本当はお使いに行く予定だったのですが、外に出ると義春のことが頭を占めてしまい、目的を忘れてしまいました。純子は義春がいると思われる場所を探し回りますが、暗くなっても見つけることができませんでした。最終的には、家族が探しに来てくれ、無事に保護されました。
しばらくして、純子は28歳の誕生日を迎えました。家族からはまだ幼い子供のように扱われていますが、実は純子は既に大人です。しかし、精神的にはまだ幼い部分が残っており、家族もそのことに気づいています。
涼子は、義春が残したがらくたを全て処分することに決めました。義春が手作りしたボトルシップも、その中に含まれていました。涼子はそのボトルシップのガラス瓶を割り、中の船を取り出して水に浮かべようとしますが、船は沈んでしまいました。
ボトルシップの船が沈んでしまった翌日、工場には大勢の人々が訪れました。涼子は工場の設備や材料を全て他人に譲ることに決めたのです。工場が空いた場所は、涼子が着付け教室で使用する予定でした。
そんな中、ミシマさんという男性が登場します。ミシマさんは義春に似た雰囲気を持っていますが、義春とは違い、他人としっかりコミュニケーションを取ることができます。ミシマさんは白い軽トラックで純子を迎えに来て、久しぶりの再会を果たします。
ミシマさんは純子を研究所に連れて行きます。研究所では、ミシマさんが女性の研究者と向き合い、難しい話をしています。純子は、ミシマさんが父に似ているけれど、他人と話ができるという点で父とは違うことに気づきます。そしてそのことを自由手帳に記録し、母の涼子に見せました。
一方、義春がいなくなった初めの頃、涼子は機嫌が良かったのですが、義春の物を探すのに苦労したり、彼が外で行っていた町内の役割までも引き継がなければならなくなり、次第に不機嫌になっていきました。
ある日、純子が田んぼのあぜ道を歩いていると、自転車に乗った以前からかってきた少年と再び遭遇しました。少年は純子に「大人なのにどうして働かないのか」と問いかけ、「あんたは瓶の中の大人だ」とからかいました。
研究所では、白い服を着た白井さんが、ミシマさんに対してガラス製品の梱包方法について意見を述べていました。白井さんは、ガラス製品を梱包する際に新聞紙を使うのをやめてほしいと要求していましたが、ミシマさんは新聞紙の油分がガラス製品に合っていると説明し、その他の要望については善処すると約束しました。
一方、家の庭は、以前は義春が手入れしていましたが、彼がいなくなったために荒れてしまいました。涼子は庭のみすぼらしさを着付けの生徒の目から隠すために、家族全員の洗濯物を干してカーテンのようにして隠しました。季節が巡り春が来ても、庭には花が咲かないままでした。
ある日、庭で「しかく」と「さんかく」が戦っているように見えましたが、それはいつの間にか、義春とホースに変わっていました。義春が家に帰ってきたのです。彼は以前と同じく、少し無骨な態度で家の中に戻り、再び工場で働き始めました。
高台からは、幼稚園児たちが義春が帰ってきたことを話しています。純子は、ミシマさんとしての父は他人の話を聞くことができると母に伝えましたが、涼子はその意味を理解できませんでした。
義春が戻ってきたことで、箕島家の日常は以前のように戻りました。しかし、純子は父がミシマさんとして他人と話ができることを理解していましたが、母にはそのことをわかってもらえませんでした。
ある日、純子がいつものように絵を描いていると、母の涼子が「その絵をコンテストに出してみたらどうか」と提案してきました。純子は少し迷いましたが、涼子の勧めに従い、絵をコンテストに応募しました。しばらくして、コンテストの結果が届き、純子は賞状と一緒に高価なお肉をもらうことができました。
これからも、箕島家の日常は続いていきます。純子はまだ精神的には子供のままですが、少しずつ成長しながら、自分なりの人生を歩んでいくことでしょう。
「わるもん」の感想・レビュー
「わるもん」は、家族の複雑な関係性と成長を描いた作品で、とても印象的でした。主人公の箕島純子は、天真爛漫でありながらも、精神的にはまだ幼い部分が残っている大人です。彼女の父、箕島義春は無骨で、家族とのコミュニケーションが少なく、家族から少し距離を置かれていました。しかし、義春が突然姿を消すことで、家族の生活が少しずつ変わり始めます。
母の箕島涼子は、義春がいなくなったことで最初は手間が減り、気持ちも軽くなったように見えましたが、義春の存在の大切さに気づいていく過程がとてもリアルで心に響きました。また、義春に似たミシマさんという人物との再会を通じて、純子が父の新たな一面に気づく場面は、彼女の成長を象徴しているように感じました。
特に印象に残ったのは、義春が家に戻ってきたときの家族の反応です。義春が再び家に居座り、以前と同じように工場で働き始める姿は、家族の中での役割が自然に戻っていく様子を表しています。そして、純子が父の違う面を母に伝えようとするシーンは、家族の中での理解と誤解が描かれており、考えさせられる部分でした。
全体を通して、「わるもん」は家族の絆や成長を温かく描いた作品であり、家族が互いをどう見ているのか、そしてどのように理解し合っていくのかを考えさせられる内容でした。最後に、純子がコンテストに応募して賞をもらう場面は、彼女の成長の象徴であり、物語の締めくくりとしてとても満足感のあるものでした。
まとめ:「わるもん」の超あらすじ(ネタバレあり)
上記をまとめます。
- 箕島家を舞台にした物語である
- 主人公は天真爛漫な純子である
- 父・義春は無骨で家族と疎遠である
- 義春が突然家から姿を消す
- 家族は義春の不在に戸惑いながらも生活を続ける
- 純子は父に似たミシマさんと再会する
- ミシマさんを通じて父の別の一面を知る
- 物語は父の帰還を描いている
- 家族の絆が物語のテーマである
- 純子の成長が物語の重要な要素である