「二人の嘘」の超あらすじ(ネタバレあり)

「二人の嘘」は、裁判官礼子と被告人蛭間の複雑な関係を描いた物語です。

自信を持つ礼子が、蛭間の判決に疑念を抱き調査を進める中で、二人の感情は交錯します。過去の真実や再審の要求、そして一夜の情事が絡み合い、最終的には悲劇的な結末を迎えるこの物語。

詳細なあらすじとネタバレを知りたい方に向けた、物語の深層に迫る内容をご紹介します。

この記事のポイント
  • 裁判官礼子と被告人蛭間の複雑な関係
  • 礼子が蛭間の判決に疑念を抱く経緯
  • 蛭間の再審要求とその背景
  • 一夜の情事が二人に与える影響
  • 物語の悲劇的な結末

「二人の嘘」の超あらすじ(ネタバレあり)

礼子さんは、裁判官として自分の判決が一度も間違ったことがないと自信を持っていました。ですが、「門前の人」として判決に不満を持っている蛭間隆也(ひるま たかや)さんのことが、どうしても気になっていました。礼子さんは、蛭間さんの裁判の記録を何度も見返しました。その中で、蛭間さんが持つ凛とした姿勢や強い意志が、他の被告人とは違って見えました。

礼子さんは、蛭間さんのことをもっと知りたくなり、新聞記者の守沢裕介(もりさわ ゆうすけ)さんや、弁護人の山路誠(やまじ まこと)さんに相談しました。彼らに協力してもらい、蛭間さんについての情報を集めることにしました。そんなある日、電車で偶然に蛭間さんと出会いました。

「判決に不満があるのですか?」と礼子さんが尋ねると、蛭間さんは「判決を考えてくださって、ありがとうございました」とだけ答えました。この短い会話で、礼子さんの心には「誰かが蛭間さんを庇っているのではないか?」という疑念が芽生えました。疑問を抱えたまま、礼子さんは蛭間さんが幼少期を過ごした聖森林の里学園(せいりんりんのさとがくえん)に向かいました。

そこで、蛭間隆也さんの妹、蛭間奈緒(ひるま なお)さんがすでに亡くなっていることを知りました。蛭間さんが守ろうとしていた大切な存在を理解した礼子さんは、自分の過去と重ね合わせ、感情を抑えきれずに学園を後にしました。

学園を出た礼子さんは、帰りの電車で改札口にいた蛭間さんに腕を掴まれました。蛭間さんは、弁護人の山路さんが自分について調べていることを知っており、調査をやめてほしいと頼んでいました。礼子さんは、自分が育児を放棄された過去を思い出し、感情が揺れ動きました。

「自分の判決が間違っているなら、正してほしい」と、礼子さんは蛭間さんに懇願しました。そして「私の口を塞いでほしい。そうすれば黙っていられるかもしれない」と伝えた後、蛭間さんと一夜を共にしました。礼子さんにとって、裁判官として感情を抑えて生きてきた中で、蛭間さんとの関係は過去の記憶を再び呼び起こしました。

11月、礼子さんは自民党の稲葉代議士(いなば だいぎし)から食事に招かれました。そこで稲葉代議士から衆議院議員への立候補を勧められましたが、礼子さんはその提案を断りました。帰り道、忘れられない蛭間さんのことを考えながら、事件が起きた現場に向かいました。

事件現場では、蛭間さんが時計店のオーナーを殺した場所や、川端で傷を負った木を見つけました。その途中で、蛭間さんの証言に隠された真実に気づきました。時計店のオーナーは地元では評判の悪い人物で、蛭間さんが育てられていた養護施設から援助を受けていたことがわかりました。蛭間さんが妹との思い出のために作った時計のデザインは優秀賞を受賞したのですが、オーナーがその作品を自分のものとして応募していたのです。このことで、蛭間さんの妹奈緒さんは抗議に行き、その結果、オーナーによってひどい扱いを受けていたことが判明しました。

この真実を知った礼子さんは、自分が蛭間さんをサポートし、再審を受けるようにお願いしました。

礼子さんは、夫の貴志さんと一緒に両親と食事に行くことになりました。しかし、その途中で百貨店の駐車場で蛭間さんを見かけてしまいました。買い物を終えた後、礼子さんは夫と車で帰る途中で再び百貨店に戻り、蛭間さんを探しました。最終的に蛭間さんの家で一夜を共にしました。

翌朝、幸せな時間を過ごした後、礼子さんが帰宅すると、夫の貴志さんは非常に怒っていました。夫との関係は元々上手くいっていなかったものの、安定した家庭は礼子さんにとって必要な場所でした。それでも、礼子さんは蛭間さんに新たな生活を始めるように勧め、衆議院議員への立候補を条件にした手続きを進めました。

再審の準備が進む中、礼子さんは蛭間さんに二泊三日の金沢旅行を提案しました。二人は金沢で楽しい時間を過ごし、能登半島の最果ての町にある民宿で、未来を共に歩むことを誓いました。しかし、翌朝、礼子さんが目覚めると、蛭間さんの姿が消えていました。部屋には、蛭間さんが礼子さんを思いやる気持ちと、時計店オーナーに関する新たな証拠が保存されたUSBメモリが置かれていました。

蛭間さんは防波堤から沖に出た先で遺体として発見されました。礼子さんはその知らせを受け、深い悲しみと共に別れを迎えました。

「二人の嘘」の感想・レビュー

「二人の嘘」は、裁判官の礼子さんと被告人の蛭間隆也さんの間に織りなされる複雑なドラマを描いた物語です。礼子さんは、これまで自分の判決が一度も間違ったことがないと自信を持っていましたが、蛭間さんの判決について疑念を抱くようになります。これにより、彼女は蛭間さんの過去を調べることに決めました。

礼子さんは、蛭間さんの裁判の記録を何度も見返し、彼が持つ強い意志や独特な雰囲気が他の被告人とは異なることに気づきます。彼女は新聞記者の守沢裕介さんや弁護人の山路誠さんに協力を求め、蛭間さんについての情報を集め始めました。ある日、偶然に電車で蛭間さんと出会い、短い会話を交わす中で、誰かが蛭間さんを庇っているのではないかという疑念が湧きます。

この疑念を抱えたまま、礼子さんは蛭間さんが幼少期を過ごした聖森林の里学園に向かいます。そこで、蛭間さんの妹、蛭間奈緒さんがすでに亡くなっていることを知り、蛭間さんが守ろうとした存在の重要性を理解します。この発見は、礼子さんの過去の記憶や感情に深く影響を与えました。

次に、礼子さんは自民党の稲葉代議士から衆議院議員への立候補を勧められますが、その提案を断ります。その後、蛭間さんが関わった事件の現場を訪れ、時計店のオーナーが地元で評判の悪い人物だったことが判明します。蛭間さんが妹との思い出のために作った時計のデザインが、オーナーに盗まれていたことも知り、蛭間さんの苦悩を理解します。

物語のクライマックスでは、礼子さんが蛭間さんと二泊三日の金沢旅行を過ごし、未来を共に歩むことを誓います。しかし、旅行から戻ると、蛭間さんが失踪し、最終的には遺体として発見されます。礼子さんは、蛭間さんの最後の意志を受け継ぎ、深い悲しみと共に物語を終えます。この作品は、複雑な人間関係や深い感情が絡み合ったドラマを提供しており、読者に強い印象を残します。

まとめ:「二人の嘘」の超あらすじ(ネタバレあり)

上記をまとめます。

  • 裁判官礼子が蛭間の判決に疑念を抱く
  • 礼子が蛭間の過去を調査する
  • 蛭間が再審を求める背景に触れる
  • 礼子と蛭間の一夜の情事が物語の鍵となる
  • 蛭間の妹が過去に受けたひどい扱いが明らかになる
  • 自民党からの衆議院議員立候補の勧誘が礼子にあった
  • 礼子が家庭と仕事の間で葛藤する
  • 金沢旅行が二人の関係を深める場となる
  • 蛭間が悲劇的な最期を迎える
  • 礼子が蛭間の最後の意志を受け継ぐ