「ジェシーの背骨」(山田詠美)は、人間関係の複雑さと心の成長を描いた物語です。
この作品では、主人公ココがクラブで出会ったリックとの新たな生活をスタートさせる中で、リックの息子ジェシーとの関係に悩む姿が描かれます。リックの父の危篤やジェシーの母親の突然の訪問など、様々な出来事が二人の関係を試します。最終的にはジェシーとの心の通じ合いが描かれ、成長と共に家族の絆が深まる感動的なストーリーです。
このレビューでは、「ジェシーの背骨」のあらすじやネタバレを詳しく紹介しますので、作品の全貌を知りたい方はぜひご覧ください。
- 「ジェシーの背骨」の全体的なストーリーと主要な出来事
- ココとリック、ジェシーの関係の変化と成長
- リックの家族事情とそれがココとジェシーに与える影響
- グレゴリーが登場しジェシーとの関係に変化をもたらす場面
- ココとジェシーが試練を乗り越え心を通わせる過程
ジェシーの背骨(山田詠美)の超あらすじとネタバレ
第1章: 出会いと始まり
ココは、ある夜クラブで友人たちと一緒に大騒ぎをしていました。そのとき、彼女の目に静かにお酒を飲んでいる男性が映りました。その男性はリックといいました。リックは騒がしいクラブの中で一人静かに過ごしており、その姿にココは興味を抱きました。ココはリックと話をするうちに彼に惹かれ、彼の家に行くことになります。
リックには11歳の息子がいます。息子の名前はジェシーです。リックは離婚していて、ジェシーと二人で暮らしていました。ジェシーとの関係は親子というより親友のようなものでした。ココはその夜リックと一夜を共に過ごし、翌朝リックの家で朝食をとることになります。
朝食のテーブルに座ったココが目にしたのは、ジェシーという少年でした。ジェシーは東洋人の血が混じっているようで、彼女に対して冷たい眼差しを向けました。ジェシーは「こんにちは」と一言だけ言って、すぐに友達のアレックスの家に行ってしまいました。ココは少し驚きながらも、リックとの新しい関係に期待を抱いていました。
第2章: ジェシーとの距離
週末になると、ココはリックの家を訪れるようになりました。しかし、ジェシーとはなかなか打ち解けることができませんでした。ジェシーはココに対して心を開こうとせず、自分の部屋に閉じこもって音楽ばかり聴いていました。
そんなある日、リックの父親が危篤状態になり、リックは実家のサンフランシスコへ10日ほど滞在することになりました。ココはリックに「私がジェシーの面倒を見ます」と申し出ました。リックは感謝しつつも心配そうでしたが、ココに任せることにしました。
ココとジェシーの二人だけの生活が始まりました。ココの友達たちは心配して代わる代わる様子を見に来ましたが、ジェシーは変わらずココに心を開こうとしませんでした。ココは仕事の合間に手作りの料理を作ってジェシーに振る舞おうとしましたが、ジェシーはほとんど食べませんでした。ココはどうすればジェシーと仲良くなれるのか悩みました。
第3章: グレゴリーの助け
ココはジェシーと打ち解けるために、以前に短期間だけお付き合いをしていたグレゴリーに助けを求めました。グレゴリーは今では別の女性との間に子供を持ち、立派な父親としての貫禄があります。
グレゴリーはジェシーに巧みに話しかけ、あっという間に仲良くなりました。リビングルームで一緒にテレビゲームをしたり、お風呂に入れたり、歯を磨かせたりしました。ジェシーがグレゴリーに対して心を開く姿を見て、ココも少し安心しました。
ココは自分のアパートから身の回りの持ち物をリックの家に運び込み、本格的な同棲生活を始める決意をしました。リックからは、父親の容態が持ち直したのであと3日ほどで戻るという連絡がありました。しかし、ジェシーはその朗報にもまるで関心を示しませんでした。
第4章: 新たな生活の始まり
リックが戻ってきて、以前のように3人での生活が再開されました。しかし、ジェシーの態度が急に変わり、リックにべったりとまとわりつくようになりました。ココはその様子を見て少し戸惑いましたが、リックとの新しい生活に期待を持ち続けました。
そんなある日、リックが家に招き入れたのはジェシーの母親でした。彼女はジェシーの様子を心配して訪れたのです。母親はジェシーに「リックとココと一緒にここに残るのか、それとも私と再婚相手と一緒に新しい家族になるのか」を選ばせました。ジェシーは「今は、ここにいる」と答えました。
その晩、リックは行き先を告げずに家を飛び出してしまいました。ココとジェシーは家に残り、リックの帰りを待ちました。
第5章: 試練と変化
ココとジェシーの気まずい沈黙が続く中、突然火災を知らせる消防車のサイレンが鳴り響きました。近所で火災が発生したようで、隣の住人の騒ぐ声も聞こえてきます。ココとジェシーはバルコニーに出て、空を赤く染める炎を目にしました。
怯えるココに、ジェシーは初めて優しい言葉をかけました。「大丈夫、僕がいるから」と言って、彼女を励ましました。非常時ばかりは、大人の女性と小さな子供という立場が逆転しました。
火が消し止められて部屋の中に戻るとき、ココはジェシーの背中をそっと押してあげました。その瞬間、彼女はジェシーに対して憎しみでも愛でもない、不思議な気持ちを感じました。ココとジェシーはこの経験を通じて、少しずつ心を通わせることができるようになりました。
ジェシーの背骨(山田詠美)の感想・レビュー
「ジェシーの背骨」は、山田詠美さんの巧みな描写と人間関係の深い洞察が詰まった作品です。物語の中心となるのは、主人公のココ、彼女がクラブで出会ったリック、そしてリックの息子ジェシーの三人です。この三人が織りなす複雑な関係が、読み手を引き込む魅力的なストーリーとなっています。
ココはクラブでリックに出会い、彼の家に行くことになります。リックには11歳の息子、ジェシーがいます。ジェシーは親友のような父子関係を持っているリックと二人で暮らしていましたが、ココに対しては冷たい態度を示します。最初の朝食の場面では、ジェシーが「こんにちは」と一言だけ言って部屋を出て行く様子が描かれています。このシーンから、ココがジェシーとの関係に苦労することが予感されます。
リックの父親が危篤になり、リックがサンフランシスコへ行くことになったとき、ココはジェシーの世話を引き受けます。しかし、ジェシーはココに心を開かず、自分の部屋に閉じこもりがちです。ココはジェシーと打ち解けようと努力しますが、なかなかうまくいきません。そんな中、ココは以前付き合っていたグレゴリーに助けを求めます。
グレゴリーはジェシーに巧みに接し、あっという間に仲良くなります。彼の存在が、ココにとって大きな支えとなりました。ジェシーとグレゴリーがテレビゲームをしたり、お風呂に入ったりする場面は、ココが安心感を覚える瞬間です。しかし、リックの元妻がジェシーに選択を迫る場面では、物語は大きな転機を迎えます。ジェシーは「今は、ここにいる」と答えますが、その後リックが家を出てしまい、ココとジェシーは二人で過ごすことになります。
物語のクライマックスでは、火災が発生し、ココとジェシーが一緒にバルコニーに出て空を見上げるシーンがあります。この非常事態を通じて、ジェシーは初めてココに優しい言葉をかけます。この瞬間、ココはジェシーに対する新たな感情を抱くようになります。
「ジェシーの背骨」は、人間関係の難しさと心の成長を描いた感動的な作品です。リック、ココ、ジェシーの三人がそれぞれの試練を乗り越えながら、少しずつ心を通わせる過程が丁寧に描かれています。山田詠美さんの独特の文体と深い人物描写が、この物語を一層魅力的にしています。
まとめ:ジェシーの背骨(山田詠美)の超あらすじとネタバレ
上記をまとめます。
- ココはクラブでリックと出会う
- リックは11歳の息子ジェシーと二人で暮らしている
- ココはリックと一夜を共にし、ジェシーと初対面する
- リックの父が危篤となり、リックはサンフランシスコへ向かう
- ココはジェシーの世話を引き受ける
- ジェシーはココに心を開かず、部屋に閉じこもる
- ココは元彼のグレゴリーに助けを求める
- グレゴリーはジェシーとすぐに仲良くなる
- リックの元妻がジェシーに選択を迫る
- 火災をきっかけにココとジェシーの関係が改善する