「指の戯れ」は山田詠美による官能的な恋愛小説です。この物語は、派手好きな友人たちに囲まれながらも、一際地味な存在であるリロイ・ジョーンズとルイ子との複雑な関係を描いています。
ルイ子とリロイの出会いから始まり、秘密の関係、すれ違い、再会、そして悲劇的な結末に至るまでの展開が緻密に描かれています。本記事では、そんな「指の戯れ」のあらすじとネタバレを紹介します。ルイ子とリロイの運命がどのように交錯し、どのような結末を迎えるのか、詳しく見ていきましょう。
- ルイ子とリロイの出会いと関係の始まり
- 秘密の関係が明るみに出る過程
- ルイ子とリロイのすれ違いと別れ
- 再会した二人の新たな展開
- リロイの悲劇的な結末とその後のルイ子
指の戯れ(山田詠美)の超あらすじとネタバレ
第1章:出会いと始まり
ルイ子の友人たちは、まるでパーティーが命であるかのように楽しんでいます。彼らはいつも最新のファッションに身を包み、トレンドに敏感です。しかし、その中でひときわ目立たない存在がいました。それがリロイ・ジョーンズです。リロイは大人しい性格で、服装もとても地味でした。流行には全く興味がなく、周りの派手な友人たちとは対照的です。
ある日、ルイ子はリロイのことが気になり始めました。彼の素性を知りたくなったルイ子は、グループの中心的存在であるT・ベイビーにリロイについて尋ねてみました。すると、リロイは南部の出身で、アフリカ系アメリカ人として育った背景がコンプレックスになっていることが分かりました。
ある夜、ルイ子とリロイはパーティーの喧騒から逃れるようにクラブの外へ出ました。二人は静かな夜道を歩きながら、心地よい時間を過ごしました。その夜、リロイはルイ子を自分のアパートへ招待し、二人は親密な関係になりました。
第2章:秘密の関係
その日以来、ルイ子が二人の関係の主導権を握るようになりました。翌日から、ルイ子とリロイの関係は仲間たちの間で広まりました。周りの好奇心の目が増える中で、二人は自然とお互いの部屋にこもることが多くなりました。リロイはピアノを弾くのが大好きで、知り合いが経営するバーの閉店後のステージを借りて毎日練習していました。
ルイ子はリロイのピアノの才能に感心していましたが、リロイだけでは満足できませんでした。ルイ子は再び自堕落な友人たちと共に夜遊びを楽しむようになりました。
第3章:すれ違い
ルイ子と友人たちの遊び場は東京都内だけでなく、近郊のアメリカ軍基地のクラブにまで広がりました。ルイ子は時々クラブで演奏するリロイを見かけましたが、彼に声をかけることはありませんでした。やがてリロイはアメリカに帰国し、軍を除隊してプロのミュージシャンを目指すことになりました。
リロイの帰国後、ルイ子は相変わらずパーティーに明け暮れていました。彼女の今のパートナーはDCという男性で、二人は夜な夜なパーティーを楽しんでいました。
第4章:再会
リロイが再び日本に戻ってきたという知らせをルイ子が聞いたのは、それから2年後のことでした。ルイ子は「ボール」と呼ばれる正装での舞踏会にDCと参加していました。ディナーを楽しんだ後、二人はダンスフロアに移動しました。そこでタキシードを着て踊っている男性がリロイだとは、ルイ子は思いもよりませんでした。
リロイは今や若手ピアニストの中でもトップクラスで、DCはルイ子がかつてリロイを「見出した」ことに感動していました。リロイの堂々とした姿には、かつての純朴な青年の面影はありませんでした。リロイがルイ子に向ける視線に耐えられなくなった彼女は、DCにその場を任せて会場を飛び出しました。
第5章:悲劇の終焉
赤坂の街をさまよい歩いていたルイ子は、突然リロイに車に引き込まれました。その日以来、リロイは幾度となくルイ子を呼び出し、彼女はその度にホテルの客室まで駆け付けるようになりました。
ある日、ルイ子は新聞でリロイの特別公演があることを知りました。公演終了後にはすぐに帰国してアルバム制作に入る予定だと知り、ルイ子は焦りを感じました。
暑い夏の午後、ルイ子はリロイのもとを訪れましたが、彼は冷たい態度で彼女を迎えました。ルイ子が思わず失礼な言葉を投げかけると、リロイは怒り、彼女をベッドに縛りつけようとしました。その時、ルイ子は近くにあったブロンズの置物に手を伸ばし、リロイの頭に振り下ろしてしまいました。リロイはそのまま倒れ、二度と起き上がりませんでした。
リロイの死は有名なジャズミュージシャンによる事件として報道され、ルイ子は正当防衛と認められて罪には問われませんでした。ルイ子はDCのもとに帰り、何日も眠り続けるのでした。
指の戯れ(山田詠美)の感想・レビュー
山田詠美の「指の戯れ」を読み終えて、非常に印象的な作品だと感じました。物語は、ルイ子という派手な生活を送る女性と、地味で大人しいリロイ・ジョーンズとの出会いから始まります。ルイ子の友人たちは皆、最新のファッションに身を包み、パーティーを楽しむ派手な人たちですが、リロイはその中で一際目立たない存在です。この対照的な二人がどのようにして関係を深めていくのかが、とても興味深かったです。
ルイ子がリロイに興味を持ち、彼のことを知ろうとする姿勢は、彼女の好奇心と魅力的な性格をよく表しています。リロイの南部出身という背景や、アフリカ系アメリカ人としての育ちにコンプレックスを抱えている点は、彼のキャラクターをより深く理解する上で重要な要素です。ルイ子が彼のアパートを訪れ、親密な関係になるシーンは、二人の関係が急速に進展する様子を感じさせました。
その後、ルイ子とリロイの関係が仲間たちに知れ渡り、二人が秘密を保つことが難しくなる描写もリアルです。リロイがピアノを弾く姿や、その才能を磨くために努力する姿勢は、彼の真面目で一途な性格をよく表しています。一方で、ルイ子はリロイとの関係だけでは満足できず、友人たちとの夜遊びに戻ってしまうのは、彼女の移り気な一面を示しています。
リロイがアメリカに帰国してプロのミュージシャンを目指す展開は、彼の成長と新たな挑戦を感じさせます。しかし、再び日本に戻ってきたリロイとルイ子の再会シーンは、二人の関係が再び複雑になることを予感させます。リロイが成功し、かつての地味な姿とは異なる堂々とした姿で登場するのは、彼の変化と成長を強く印象付けます。
最も衝撃的だったのは、物語のクライマックスであるリロイの死です。ルイ子との関係が再び深まる中で、彼が冷たくなり、最終的に悲劇的な結末を迎える場面は、非常に感情的でした。リロイの死後、彼が巻き起こした事件として報道され、ルイ子が正当防衛として罪に問われなかった点も、物語の終わりにふさわしいものでした。
全体として、「指の戯れ」は、異なる背景を持つ二人の複雑な関係を緻密に描いた作品です。ルイ子とリロイの出会いから別れ、そして再会と最終的な悲劇まで、読者を引き込む力があります。山田詠美の繊細な描写と、キャラクターの心理描写が非常に印象的で、最後まで飽きずに読み進めることができました。
まとめ:指の戯れ(山田詠美)の超あらすじとネタバレ
上記をまとめます。
- ルイ子の友人たちは派手なパーティー好きである
- リロイ・ジョーンズは大人しく地味な性格である
- ルイ子はリロイに興味を持ち、接近する
- リロイは南部出身でコンプレックスを持つ
- ルイ子とリロイは親密な関係を築く
- 秘密の関係が仲間たちに知れ渡る
- ルイ子は友人たちとの夜遊びを続ける
- リロイはアメリカに帰国しプロを目指す
- リロイが再来日し、成功した姿で再会する
- リロイとの関係が再び悲劇的な結末を迎える