「チルドレン」(伊坂幸太郎)のネタバレを知りたい方へ。
この記事では、伊坂幸太郎の小説「チルドレン」の超あらすじと詳細なネタバレをお届けします。本作は、家裁調査官の武藤健一と少年・木原志朗の出会いから始まり、家庭裁判所での面接やその後の出来事を描いたミステリアスな物語です。物語の中で明らかになる志朗の秘密や、彼を取り巻く大人たちの思惑が交錯する中、予想外の展開が待っています。
ネタバレを含む詳細なストーリーを知りたい方は、ぜひこの記事をお読みください。
- 「チルドレン」のあらすじと主要なストーリー展開
- 登場人物の関係と特徴
- 家庭裁判所での武藤と志朗のやり取り
- 志朗の父親とその秘密
- 物語の最終的な結末とネタバレ
チルドレン(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ
第1章: 出会い
家裁調査官の武藤健一(むとう けんいち)が木原志朗(きはら しろう)と初めて会ったのは、9月半ばのことでした。志朗はマンガ本を万引きして捕まってしまい、家庭裁判所に送られてきました。志朗の隣には、彼の父親と思われる男性が立っていました。武藤は、志朗と父親と一緒に面接の部屋へ向かいました。
その途中、武藤は先輩調査官の陣内康一(じんない こういち)から芥川龍之介の文庫本「侏儒の言葉」を手渡されました。家庭裁判所の調査官が扱う事件には2つの種類があります。1つは、鑑別所に入れられている少年と面会する「身柄事件」、もう1つは、少年が家にいて家庭裁判所まで保護者に付き添われて面接にやって来る「在宅事件」です。
今回の志朗のケースは、さほど大きな事件ではないため「在宅事件」に分類されました。武藤は、志朗の事実関係や本人の反省を確認した後、報告書を書いてこの件を終える予定でした。
第2章: 志朗の父親
志朗の父親である木原正和(きはら まさかず)は、有名な飲食チェーン店の代表取締役です。彼の名前は、武藤が大好きな小説家と同じ名前です。正和は威圧感たっぷりの男性で、彼の前では志朗はなかなか打ち解けて話してくれませんでした。
武藤は、志朗との継続面接を決めました。陣内のアドバイス通りに、武藤は「侏儒の言葉」を志朗に手渡しました。次の面接予定日は1週間後でしたが、2日後に武藤はファーストフード店で志朗を見かけ、声をかけました。志朗は、先日受け取った芥川龍之介の本をいつも持ち歩いており、すっかり気に入っているようでした。さらに、志朗の父親も同じ本を読んでいるようで、親子の仲も良さそうでした。武藤と志朗が店を出ると、二人の帰る方向が同じだったため、武藤は志朗の自宅を見に行くことにしました。
第3章: 高級住宅街の謎
志朗の家は高級住宅街の中でも特に豪華な家で、窓は開け放たれていました。家の中からは、ソニー・ロリンズのサクソフォンの音が大音量で流れてきました。以前の面接で、志朗はジャズを聴くのが趣味だと話していましたが、父親の正和はジャズが大嫌いなはずです。
次の日、武藤はこの些細な違和感について陣内に相談しました。陣内はあっさりと「騙されてる」と断言しました。さらに、志朗の母親が夫と息子に殺害されたとまで言い出す始末です。しかし、武藤は主任調査官の小山内幸夫(おさない ゆきお)に呼ばれたため、陣内との会話は途中で終わってしまいました。
第4章: 居酒屋での会話
その日の帰り、武藤は再び志朗の家に立ち寄りました。「母を殺して、敷地内に埋めた」という陣内の荒唐無稽な推理が、どうしても気に入って仕方ありませんでした。庭の前をうろうろしていた武藤は、志朗の父にあっけなく見つかってしまい、近所の居酒屋まで付き合うことになりました。
志朗の父は、妻は旅行に行っていると答え、怪しい素振りは見せませんでした。全国に店舗を展開する豪邸に住む社長であるはずですが、飲み代は意外にも割り勘でした。店を出ると、志朗の父は数人の男たちに絡まれ、暴行されてしまいました。武藤が機転を利かせたため、何とか助かりましたが、志朗の父は借金があるため警察に届けることをしませんでした。
第5章: 真実の告白
2回目の面接で、志朗は芥川龍之介の文庫本を武藤に返しました。武藤は、裁判所への報告書に「審判不開始」と書きました。志朗の反省具合や罪の軽さから考えて、審判を開くまでもないという結論に至ったのです。
武藤と志朗が再会したのは、それから半年後のことでした。陣内から渡された新聞には、誘拐事件の被害者として志朗の顔写真と、「本当の父親」の写真が載っていました。自宅を訪れた武藤に対して、志朗はすべてを告白しました。面接に来た男性は、両親が旅行に行っている間に侵入してきた強盗だったこと、匿ってあげる代わりに家庭裁判所まで父親のふりをして付き添ってもらったこと、武藤から借りた「侏儒の言葉」を二人で読んでいるうちに意気投合してしまったこと。
今回の誘拐も狂言で、借金に困っていた強盗は身代金で無事に返済することができたはずです。少年と強盗が分かり合うのに、陣内の文庫本が一役買ったことを知り、武藤は1冊の新しい文庫本を志朗にプレゼントしました。今回は有名作家の作品で、彼の名前は志朗の本当の父と同じです。志朗はその後も万引き事件を起こし、少年事件のファイルに記載されました。志朗が盗んだのがマンガではなく、武藤が薦めた小説と知って、陣内は嬉しそうにしていました。
チルドレン(伊坂幸太郎)の感想・レビュー
伊坂幸太郎の「チルドレン」は、家裁調査官の武藤健一と万引きで家庭裁判所に送致された少年、木原志朗との出会いから始まる物語です。この小説は、読者を引き込むミステリアスな展開と、登場人物の人間味あふれる描写が特徴的です。
まず、武藤健一というキャラクターは非常に魅力的です。彼の真面目さと優しさが志朗とのやり取りを通じて伝わってきます。特に、志朗に芥川龍之介の「侏儒の言葉」を渡すシーンは、文学の力で少年を変えようとする意図が感じられ、感動的です。
一方、志朗の父親と思われた木原正和の正体が強盗であったという衝撃的な事実が明らかになることで、物語は一気にクライマックスへと向かいます。この展開は、読者に予想外の驚きを与え、物語に深みを加えています。正和が実は志朗の本当の父親ではなく、旅行中の両親の家に侵入してきた強盗だったことが判明する場面は、緊張感があり、非常にスリリングです。
また、志朗が再び万引きをしてしまう結末も、現実の厳しさを感じさせます。しかし、盗んだのが武藤が薦めた小説であったことから、志朗の中に何かしらの変化が生まれたことを示唆しています。このような細かい描写が、登場人物の成長や内面の変化を巧みに描いています。
総じて、「チルドレン」は、人間関係の複雑さや成長の過程を描いた秀逸な作品です。伊坂幸太郎の巧みなストーリーテリングと深い人物描写により、読者は最後まで物語に引き込まれます。家裁調査官と少年の交流を通じて、人間の温かさや絆の重要性を感じさせてくれる一冊です。
まとめ:チルドレン(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ
上記をまとめます。
- 家裁調査官の武藤健一と木原志朗の出会い
- 志朗がマンガ本を万引きして送致される
- 志朗の父親とされる木原正和の登場
- 武藤が芥川龍之介の文庫本「侏儒の言葉」を志朗に渡す
- 志朗の父親が実は強盗であることが判明
- 武藤が志朗の自宅を訪れた際の高級住宅街の描写
- 陣内の指摘と志朗の母親に関する疑惑
- 志朗の父親が数人の男たちに絡まれ暴行される
- 武藤が報告書に「審判不開始」と書く
- 志朗が再び万引きをし、陣内が喜ぶ結末