『あるキング』(伊坂幸太郎)のネタバレを探している方へ、本記事ではこの物語の概要と主要な展開を詳しく解説します。
『あるキング』は、仙醍キングスというプロ野球チームとその周囲の人々の運命を描いた作品です。物語は、球団創設以来一度も日本一になったことがない仙醍キングスと、そのファンである山田王求(おうくん)という少年の成長と試練を中心に展開されます。父親の過去の事件やプロ野球選手としての厳しい現実、そして最後の試合での感動的な瞬間など、緊張感あふれるストーリーが展開されます。
興味深いストーリー展開を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。
- 仙醍キングスというプロ野球チームの概要と歴史
- 山田王求の誕生と成長過程
- 王求が中学生時代に直面した試練とその影響
- プロ野球選手としての王求の活躍と葛藤
- 王求の最後の試合と感動的な結末
あるキング(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ
第1章: 仙醍キングスと山田王求の誕生
仙醍キングスは仙醍市に本拠地を置き、製薬会社「服部製菓」が運営するプロ野球チームです。しかし、球団が創設されてから一度も日本一になったことがありませんでした。チームの監督を務めていた南雲慎平太さんは、現役時代に優れたスラッガーとして有名でしたが、彼が監督になってもチームはなかなか上位に上がることができず、万年Bクラスのままでした。
成績不振の責任を取って辞任した南雲監督は、シーズン最終戦で試合中にベンチ内で転倒し、頭を強く打って亡くなってしまいました。その日、仙醍市内の個人経営の産婦人科医院で山田王求(やまだ おうくん)という男の子が生まれました。王求の父親、山田亮さんと母親、桐子さんは熱心な仙醍キングスファンで、王求は両親から熱心な野球教育を受けて育ちました。
平日には学校が終わるとすぐにバッティングセンターに行き、夜遅くまでトレーニングを続け、週末には地元のリトルリーグで試合に出場していました。そんな野球漬けの生活を送る王求を見守るのは両親だけではありませんでした。いつも全身を黒い服でコーディネートした3人の女性が、彼に特別な関心を寄せていました。
第2章: 中学生時代の試練
中学生になった王求は、ますます野球に打ち込んでいました。しかし、ある日、不良グループのリーダーである森久信(もり ひさのぶ)に因縁をつけられてしまいます。森は王求を暴行し、彼の顔には痣ができてしまいました。これを見た父親の亮さんは黙っていられず、森の家に行って話し合おうと決意しました。
山田一家が住むマンションから森の両親が経営する医院までは、国道沿いの細い道を歩いてすぐの場所にありました。雨が降り始めていたため、亮さんはビニール傘を持って森医院へ向かいました。インターフォンを押して森を呼び出し、平和的に解決しようと話し合いを始めましたが、気が付くと亮さんの隣には例の黒ずくめの3人組が立っていました。
翌日から森は行方不明となり、彼の遺体が見つかったのは3年後、王求が高校1年生の時でした。森の遺体に付着していたビニール傘の一部が、仙醍キングスのグッズ取扱店で販売されていたものであることが判明しました。これを受けて、亮さんは警察に自首しました。王求はせっかく入学した甲子園常連校を退学することになりました。
第3章: 挫折と再起
王求は超高校級の球児として注目されていましたが、父親が起こした事件の影響で、高校を退学した後も毎日のように記者やレポーターに追いかけられる日々が続きました。小学生の頃から通っていたバッティングセンターの管理人である津田哲二さんは、王求の境遇に同情し、練習場所を提供するだけでなく、知り合いの草野球チームの試合にも出場させてくれました。
そんな恩人の津田さんが突如として脳出血で意識不明の重体となったのは、王求が17歳の時でした。津田さんの妻、清美さんに「プロでも絶対に活躍する」と言い残した言葉を胸に、18歳になった王求は仙醍キングスの入団テストに応募しました。実力は十分にありましたが、父親の事件が地元で有名だったため、書類選考の段階で不合格となってしまいました。
王求は一計を案じ、中学時代の同級生の名前を借りて偽名でテストを受けました。偶然テストを見に来ていた球団オーナーの目に留まり、ついに念願の仙醍キングスへの入団が決まりました。
第4章: プロ野球選手としての活躍と葛藤
王求は入団1年目から頭角を現し、仙醍キングスの中心バッターとして目覚ましい活躍を見せました。しかし、彼がプロ野球の記録を更新しようとするたびに、相手チームは敬遠やデッドボールなどあらゆる手段を使って阻止しようとしました。王求の父親が犯罪を犯したという事実が、対戦相手やファンの中には受け入れられない人もいました。
仙醍キングスの現監督である駒込良和(こまごめ よしかず)もその一人でした。駒込監督は正義感が強く、使命感に満ち溢れている人物で、王求がチームの顔となることに強い違和感を抱いていました。
第5章: 最期のホームラン
王求を排除しようと考えた駒込監督は、自分に心酔している打撃コーチを使って王求に危害を加えさせました。試合中に王求は腹部を刃物で刺されましたが、彼の目に映ったのは幼い頃から見てきた黒い服に黒い帽子を被った女性たちでした。激痛に耐えながらも、王求はどこからか自分を応援する声を聞きました。
最期の力を振り絞り、王求はホームランを打ちました。王求が仙醍球場で23年間の人生を終えようとしていたその瞬間、仙醍市内では熱烈な仙醍キングスファンの夫婦が分娩台で出産に臨んでいました。
あるキング(伊坂幸太郎)の感想・レビュー
『あるキング』(伊坂幸太郎)は、読者を一気に引き込む魅力的な物語です。この作品は、プロ野球チーム仙醍キングスと、その熱狂的なファンである山田王求の波乱万丈な人生を描いています。
物語は、仙醍キングスが一度も日本一になったことがないという背景から始まります。チームの監督である南雲慎平太が成績不振の責任を取って辞任し、試合中に不幸な事故で亡くなってしまいます。その日、王求が生まれるという劇的な展開は、読者に強い印象を与えます。
王求は、父親の山田亮と母親の桐子から熱心な野球教育を受けて育ちます。彼の幼少期から野球漬けの日々が続き、バッティングセンターでのトレーニングやリトルリーグの試合に打ち込む姿は、彼の情熱と努力を象徴しています。
中学生になった王求は、不良グループのリーダー森久信に暴行されるという試練に直面します。父親の亮がこの事件をきっかけに森と対峙し、その後森が行方不明になるというミステリアスな展開が続きます。亮が警察に自首し、王求が高校を退学することになるシーンは、家族の絆と悲劇の深さを感じさせます。
高校を退学した後も、王求はバッティングセンターの管理人津田哲二の助けを借りて、野球の練習を続けます。津田の支援と王求の努力が、彼の再起を支えます。18歳になった王求は、仙醍キングスの入団テストに挑戦しますが、父親の事件が原因で不合格となります。それでも、中学時代の同級生の名前を借りて偽名でテストを受け、見事に合格するという展開は、王求の諦めない姿勢を表しています。
プロ野球選手として活躍し始めた王求ですが、父親の事件の影響が彼の前に立ちはだかります。相手チームからの敬遠やデッドボール、そして仙醍キングスの監督駒込良和の陰謀が彼を苦しめます。それでも彼は最後まで諦めず、試合中に腹部を刺されるという危機的な状況でもホームランを打ちます。この場面は、王求の強さと勇気を象徴しています。
最期に、仙醍球場で命を落とす王求の姿は、読者に深い感動を与えます。同時に、仙醍市内では新しい命が誕生しているという対比が、美しい締めくくりとなっています。
全体を通して、『あるキング』は、家族の絆、努力の重要性、逆境に立ち向かう強さを描いた感動的な物語です。伊坂幸太郎の巧みなストーリーテリングと深いキャラクター描写が、読者を魅了します。
まとめ:あるキング(伊坂幸太郎)の超あらすじとネタバレ
上記をまとめます。
- 仙醍キングスは仙醍市に本拠地を置くプロ野球チームである
- チームは創設以来一度も日本一になったことがない
- 南雲慎平太が監督を務めていたが、成績不振で辞任し、事故で亡くなる
- 山田王求は南雲監督の亡くなった日に生まれる
- 王求は熱心な仙醍キングスファンの両親のもとで育つ
- 中学生時代に不良グループのリーダー森久信に暴行を受ける
- 父親の亮が森と対峙し、後に森は行方不明になる
- 父親が自首し、王求は高校を退学する
- 王求は偽名を使い仙醍キングスの入団テストに合格する
- 王求はプロ野球選手として活躍するが、最後の試合で命を落とす